2014年07月09日 ジャパンDダービー(中央交流) Jpn1
優勝馬:カゼノコ
プロフィール
- 生年月日
- 2011年04月06日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:12戦4勝
- 総収得賞金
- 174,335,000円
- 母 (母父)
- タフネススター by ラグビーボール
- 馬主
- 橳嶋 孝司
- 生産者
- 田中 裕之 (静内)
- 調教師
- 野中 賢二
- 騎手
- 秋山 真一郎
7月9日に東京の大井競馬場2000mコースで行われた第16回ジャパンダートダービー(Jpn1)は、新ひだか町静内に牧場を構える田中裕之さんの生産馬で2番人気カゼノコ(中央・野中賢二厩舎)が優勝した。
ジャパンダートダービー(Jpn1)は、羽田盃、東京ダービーと続いた南関東3歳クラシック三冠レースの最終関門で地方・JRA共にトップクラスの3歳馬が結集する「砂のダービー」。
これまでにも数多くの名馬を送り出している。近年は早い時期からダートの頂点を目指すJRA所属馬も多く、全国から大きな注目が集まるレースだ。
田中裕之さんの牧場は、創業昭和22年4月。当初は水田及び乳牛農家として開場したがその後、アラブの生産をはじめ、サラブレッド専業となったそうだ。牧場の敷地面積は約30ha。そのうち放牧地24ha、採草地6ha。従業員は5名で、現在の繁殖牝馬数は22頭 1歳馬16頭 当歳馬18頭。厩舎は、繁殖牝馬用144坪、1歳馬用72坪、隔離用24坪の3棟。
その他、大型重機が多数入る車庫、体重計所、診療所などがあり、現役オープン馬デスペラードや07年の最優秀障害馬メルシーエイタイムなど活躍馬が多数でる牧場だ。
この時期、牧草やセールで牧場は忙しい時期だが、重賞にでるとなったら、何が何でも行こうと決めているので、仕事を済ませて昼の飛行機で東京に向かったそうだ。
「その日の大井は、ここ大井?今日有馬記念?って思うくらい人が入っていました。もう歩けないくらい!女性やカップルも多く、いつもと違う雰囲気で盛り上がっていたんです。それだけ、1番人気のハッピースプリントが勝つところを観たい人であふれかえているところで、勝っちゃったんです」と少し申し訳なさそうに笑った。とはいえ、「私の生産馬はあまり1番人気にはならないので、実は私も・・1着にはならないだろうと、気楽な気持ちでレースを観ていたので、勝ったときにはエーーッ!!と本当にびっくりしました。」と喜びがまたあふれて来る。
「周りの方々、また、遠方からも、お祝いの言葉やメッセージなど多数頂いてありがたかったです。良かったね!おめでとう!ありがとうございます!この言葉のやりとりが出来るって嬉しいですよ。」人と人とのつながりが一番大切という田中さんらしい言葉だ。
牧場時代のカゼノコは、「大人しくて目立たない馬でした。ただ、馬体は良く出来ていました。内田ステーブルに預けていて、仕上がりも順調でしたよ。カゼノコはしばらく休養して、オーナーさんと調教師さんがスケジュールをたてて行くので、私は陰から応援して行きます。」とエールを贈る。残念ながら、昨年亡くなったカゼノコの母、タフネススターについては「気が強いけど賢くて止まりが良い馬でした」と思い出を語ってくれた。
長い年月の中で試行錯誤を繰り返してきた田中さんの牧場は、より強い馬づくりのために色々な工夫と知恵が散りばめられている。放牧地の出入り口の事故を無くすために馬せん棒ではなくゲートにした。直線1キロの放牧地は1歳馬の牝馬を放すと、走っては戻ってきて、また走ってと一日に何キロも走るそうだ。幼い頃から距離感を身につけさせたいと考えた結果そうなった。サラブレッドはアスリートと考え、筋肉作りのためにONとOFFの切り替えも大切にしているそうだ。
地元の高校生の講義も行っているという田中さんは「競走馬として血統書がある馬の生産頭数で、日本は世界第5位なんです。この日高という狭いところで世界に通用する馬を生産している、貴重な存在の地域だと高校生に伝えたいし、馬への興味の間口も広げて欲しいですね。また、我々生産者も、夢を大きくもって、高価で売買されて大きく活躍できる馬を作りたいです。ローマは一日にしてならず。人と馬を大切に、そして最後まであきらめないでやりつづけたら、必ずドラマが待っていますよ!」と力強い言葉で締めくくった。