2014年06月02日 岩手ダービーダイヤモンドC(DW2014)
優勝馬:ライズライン
プロフィール
- 生年月日
- 2011年04月23日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:11戦5勝
- 総収得賞金
- 41,429,000円
- 母 (母父)
- イージーラヴァー(CAN) by Alwasmi(USA)
- 馬主
- 大久保 和夫
- 生産者
- 土井牧場 (新冠)
- 調教師
- 千葉 幸喜
- 騎手
- 村上 忍
『ダービーウイーク2014』の第2戦「岩手ダービー ダイヤモンドカップ」を、1.2倍の圧倒的1番人気に支持されたライズラインが制した。2番手追走から楽々と抜け出し、ゴールでは後続を6馬身ちぎる圧勝劇で“ダービー馬”の栄冠を手にした。
ライズラインの生まれ故郷は、新冠町新和の土井牧場。昭和29年創業の牧場で、過去には1984年の阪神3歳S(G1)を制したダイゴトツゲキや、フジキセキの勝った朝日杯3歳S(G1)で4着に健闘し、翌年の京成杯(G3)を逃げ切ったマイティーフォースらを生産。現在の繁殖牝馬は2頭と小規模ながらも、堅実に牧場経営をつづけている。
「冬場に大井へ移籍して2戦つづけて大敗した時は少し不安になりましたが、相手が相当強かったですからね。岩手に戻り、前走のやまびこ賞が再び強い内容だったので、ここも全力を発揮できれば勝てるだろうと思っていました。馬体重が-16kgと大きく減っていたので心配しましたが、問題なかったですね。1番人気に応えられて嬉しいです」と胸をなでおろすのは、生産者の土井和則さん。“ダービー”と名のつくレースを生産馬が制するのは、レインボーブレイズが1998年の荒尾ダービーに優勝して以来のこととなった。
レースを電話実況でしか聞けていないという土井さんに、レース動画のアーカイブをタブレットでお見せすると、逞しく育った愛馬の姿を目の当たりにして自然と笑みがこぼれ出す。隣で一緒に取材に応じてくれていた奥さまも、関係者が制作したスクリーンヒーロー産駒のカレンダーを手に取り、仔馬時代のライズラインの顔写真を「えらい、えらい」と言って撫でる姿が印象的だった。
「1歳春まで牧場で順調に育ちました。生産頭数が2頭ということもあり、人にはよくなついていましたが、おとなしい気性ではなかったですね。ただ、バランスの良い馬だったことを覚えています」とライズラインの幼少期を振り返る土井さん。父スクリーンヒーローに似て、やんちゃな性格をしていたそうだ。1歳夏のHBAサマーセールに上場し、220万5,000円(税込)という評価で落札された。「スクリーンヒーローの初年度産駒で未知の要素が多かっただけに、落札されたときはホッとしました」と当時の心境を話してくれた。
ライズラインの母イージーラヴァーはカナダ生まれで、南米のチリで競走生活を送った馬。日本へ輸入されて社台ファームで7頭の仔を産んだのち、ジェイエス繁殖セールに上場され、土井さんが購入した経緯を持つ。「当時、この馬1頭だけを狙ってセールに参加していました。ライズラインが生まれた時は安産で、母仔ともに放牧地でよく動いていました」と当時を懐かしむ。優秀な競走成績と馬体の良さ、親しい牧場関係者からの勧めを受けて購入を決断したそうだが、残念ながらライズラインが最後の産駒となってしまった。土井さんの牧場へやってきて唯一産み落とした仔が“ダービー馬”となってくれ、母イージーラヴァーも天国でさぞかし喜んでいることだろう。
「今後も無事に走って、岩手競馬を盛り上げてほしいです。交流競走などで北海道へ来るようなことがあれば、ぜひ応援に行きたいですね」と愛馬へエールを送る土井さん。岩手競馬2歳二冠(若駒賞、南部駒賞)に加え、芝の重賞・ジュニアグランプリでもプレイアンドリアルの2着に健闘した実績のある逸材。成長力が見込めるスクリーンヒーロー産駒だけに、今後の飛躍がますます楽しみになってくる。岩手競馬はもちろん、地方競馬を背負っていくようなヒーローへの道を歩んでほしい。