重賞ウィナーレポート

2014年04月27日 フローラS G2

2014年04月27日 東京競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サングレアル

プロフィール

生年月日
2011年05月08日 03歳
性別/毛色
牝/青鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
75,084,000円
ゼンノロブロイ
母 (母父)
ビワハイジ  by  Caerleon(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
松田 博資
騎手
岩田 康誠

   オークストライアルでもあるフローラS(G2)。ここで権利を取った馬は、晴れて樫の女王を決める争いの中に入ることを許される。距離適性を考え、桜花賞(G1)よりもこの舞台を選んできた馬、そして賞金面を考慮してここでラストチャンスにかける馬など、混戦模様を呈していた。

   勝利したのはここまで僅かキャリア2戦、約4か月ぶりのレースでこのレースに臨んだサングレアル。母は阪神3歳牝馬S(G1)の勝ち馬ビワハイジ、そして半姉は最強牝馬の1頭としてその名があがるブエナビスタという良血馬が、初の重賞制覇を携えて、樫の女王争いに加わってきた。

   「牧場で管理をしていた頃から、血統の良さもあって注目を集めていた馬でしたが、高い能力も持ち合わせており、期待も大きかった馬でした。ただ生まれが5月と遅く、良くなるのはオークス(G1)辺りになるのではと思っていたので、そのレースに出走できる権利を勝利という形で取ってくれたことは嬉しいですね」とはサングレアルの育成を手がけてきた、ノーザンファーム早来牧場の日下和博厩舎長。実は日下厩舎長はブエナビスタだけでなく、同じく半姉に当たるジョワドヴィーヴルも手がけてきた。

   「サングレアルは、よくブエナビスタと比較されますが、馬体のサイズからしてもジョワドヴィーヴルの方が似ている印象がありますね。走り方や、坂路を駆け上がるフォームなどサングレアルはジョワドヴィーヴルを彷彿とさせていました」(日下厩舎長)

   このフローラS(G2)はTVで観戦していたという日下厩舎長だが、パドックでのサングレアルを見た時、前走より馬体重はマイナス4キロの414キロだったものの、決して細いという印象は持たなかった。

   「輸送もあったので減るとは思っていましたが、それでも成長の跡を示すように筋肉も付いて逞しさを増していましたし、前走(福寿草特別)よりもしっかりとした馬になっていると思えました」(日下厩舎長)

   ゴール前、先行馬と後方で待機していた馬が一気に馬群の距離を縮める中、混戦から抜けだしてきたのは、出走メンバー中で最も小柄だったサングレアル。最後は前を行くブランネージュを図ったように差しきり、母ビワハイジにとって6頭目の重賞勝ち馬となった。ちなみにこの重賞勝ち馬6頭という数字はJRA新記録でもある。

   この結果により、ノーザンファーム生産の3歳世代の牝馬で、日下厩舎が手がけた育成馬はサングレアルを含む3頭が賞金面などでオークス(G1)の出走権を手にしたことになる。その一頭が桜花賞馬のハープスター。そしてもう一頭がフラワーC(G3)を制したバウンスシャッセだ。

   「3頭をオークス(G1)の舞台に送り出せることは嬉しい限りです。それもノーザンファームでいい馬を任せてもらっていることや、調教師の先生や、各厩舎のスタッフの皆さん、そして騎手の方やオーナーの方など、これまでお世話になってきた皆さんのおかげだと思っています」(日下厩舎長)

   少々意地悪な質問だが、オークスは3頭の中でどの馬を応援しますか? と尋ねたところ、日下厩舎長は「勿論、3頭全てですよ」と笑った後で、こんな言葉を返してくれた。

   「3頭共に魅力や期待もありますが、サングレアルは血統的にも今後の成長が見込めるだけでなく、フローラS(G2)を見ていてもどんどんレースぶりも良くなっているだけに、オークス(G1)ではどんなレースを見せてくれるのだろうという楽しみがあります。厩舎としてもオークス(G1)は昨年、デニムアンドルビーで悔しい思い(3着)をしているだけに、ここはサングレアルを含めた3頭に、是非とも昨年の雪辱を果たしてもらいたいですね」(日下厩舎長)

   「できれば、3頭で上位独占できれば最高の結果なのですが」と日下厩舎長は最後に付け加える。3歳牝馬屈指の高い能力を持っているハープスター、距離が伸びることで、持ち前の安定したレースぶりが更に生かされそうなバウンスシャッセ、そして血統の良さと成長力で、一気に頂点へと駆け上がりそうなサングレアル。日下厩舎でしのぎを削ったこの3頭なら、上位独占もあながち夢ではないのではという気もしてくる。