重賞ウィナーレポート

2014年03月29日 日経賞 G2

2014年03月29日 中山競馬場 晴 良 芝 2500m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ウインバリアシオン

プロフィール

生年月日
2008年04月10日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:17戦4勝
総収得賞金
579,946,000円
ハーツクライ
母 (母父)
スーパーバレリーナ(CAN)  by  Storm Bird(CAN)
馬主
(株) ウイン
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
松永 昌博
騎手
岩田 康誠

 3歳時の青葉賞(G2)以来、約3年ぶりとなる重賞制覇。G1では3度の2着など、能力の高さは証明されていたウインバリアシオンを、重賞タイトルから遠ざけたのは、同世代にいた日本競馬最強とも言われるオルフェーヴルであり、そして左前脚に発症した屈腱炎だった。

 「3歳だけでなく、古馬となってからも常にオルフェーヴルが前に走っていたことになりますが、それでもウインバリアシオン自身も良く食らいついてくれましたし、その一方でオルフェーヴルが出ていないレースでの取りこぼしが多かったのも事実でした」とはウインバリアシオンの育成を手がけてきた、ノーザンファーム空港牧場の大木誠司厩舎長。確かにここまで重賞レースでの15戦を含む17戦を戦っていて、掲示板を外したのは僅か2回という非常に安定した成績を残してきたウインバリアシオンであるが、2着は5回、3着は2回と、あと一歩のところで勝利を逃し続けてきた。

 「育成調教を手がけてきた頃から、競走馬として完成を迎えるのは古馬となってからだと思っていました。そう思うと、復帰してからの安定感のあるレースも、ようやく心身共に力を発揮できる状態となったのではとも思えます」(大木厩舎長)

 ウインバリアシオンを重賞から遠ざけたもう一つの要因となったのが、4歳の宝塚記念(G1)後に発症した屈腱炎。競走馬にとっては不治の病ともされ、復帰までは一年以上の時間を要することも珍しく無く、中には復帰が叶わずに引退してしまう馬もいる。

 「屈腱炎ですが目立った腫れも無く、症状が軽かったことが幸いしました。復帰までに1年半程の時間は要しましたが、それでも順調に調教を重ねてから厩舎に送り出すことができましたし、ちょうど成長の時期に当たったのか、動きもここに来た頃よりしっかりしてきたという印象がありました」(大木厩舎長)

 有馬記念(G1)以来となった、今年の日経賞(G2)。56㎏の斤量で出走したウインバリアシオンは、最後のコーナーで外から一気にまくっていくと、直線では先頭に立ってそのままゴール。まさに単勝1番人気に応えるような横綱相撲だった。

 「このレースは実績のある馬たちよりも軽い56㎏という斤量で走れたこともありますし、なんとかしてくれるだろうとの思いと、ここで負けるようなら、この後のG1で勝ち負けのレースができるだなんて言えなくなるだろうなとも思っていました。勝ち方も良かったですし、これで胸を張ってG1が楽しみになってきましたと言えます」(大木厩舎長)

 当面の大目標となるのは、勿論、一昨年は3着に敗れた天皇賞(春)(G1)。だが、大木厩舎長はその後の未来も想像する。

 「天皇賞(春)(G1)を勝った暁には、宝塚記念(G1)出走ともなるはずです。きっとそこにはより多くのG1馬をはじめとする強いメンバーが揃うと思いますし、そこで今のウインバリアシオンがどんなレースを見せてくれるのかも楽しみです」(大木厩舎長)

 あのオルフェーヴルに4度食らいついた馬。単純な物差しで図るのならば、日本最強馬ともオルフェーヴルが現役を退いた今、繰り上がり方式だとウインバリアシオンが、現在の日本最強馬であるという見方もできる。それが真実であることを、まずは天皇賞(春)(G1)、そして宝塚記念(G1)の勝利という形で、ウインバリアシオンは証明してくれるはずだ。