重賞ウィナーレポート

2014年03月08日 オーシャンS G3

2014年03月08日 中山競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:スマートオリオン

プロフィール

生年月日
2010年03月15日 04歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:12戦5勝
総収得賞金
185,001,000円
グラスワンダー(USA)
母 (母父)
トロピカルレディー  by  ウイニングチケット
馬主
大川 徹
生産者
いとう牧場 (門別)
調教師
鹿戸 雄一
騎手
横山 典弘

 第9回オーシャンS(G3)は、前走アクアマリンS(1600万下)を制し、連闘で臨んだ3番人気のスマートオリオンが好位から直線突き抜けるという危なげないレース振りで重賞初勝利。圧倒的な強さを誇ったロードカナロアが引退し、混沌を極める短距離路線に新星が誕生した。

 スマートオリオンの故郷は、日高町のいとう牧場。伊藤真継代表を中心に、15頭の繁殖牝馬を有する家族経営の牧場だ。過去には1994年のNHK杯(G2)勝ち馬ナムラコクオーをはじめ、2012年フィリーズレビュー(G2)2着のビウイッチアス、2012年レパードS(G3)でホッコータルマエにクビ差2着に肉薄したナムラビクターなどを送り出している。

 デビューから5戦目となる3歳夏の函館で初勝利。適距離は芝1200mと見定め、以後1着4回、2着3回という抜群の安定感で重賞まで登り詰めた。

 レースは厩舎作業の手を休めて自宅で観戦したという伊藤真継代表。「家族経営の牧場ですから、出産種付けシーズン真っ最中のこの時期に家を空けることは不可能ですからね。前走は太め残りで、今回は絞って出て来たなという印象は受けましたが、強い馬もたくさんいるし、連闘で大丈夫なのかとか心配なこともありました。直線抜け出して、後続をどんどん離してく姿は見ていて気持ち良かったですね」と喜びを新たにした。

 スマートオリオンの母、トロピカルレディーはJRAダートの短距離で3勝をあげ、2番仔のスマートギャング(牡、父グラスワンダー)も福島2歳S(芝1200)を優勝するなどスピード勝負で能力を発揮する血統といえる。

 母の7番仔として誕生した本馬は「バランスが良く、見栄えのする馬でした。全兄のスマートギャングも走っていたし、この出来の良さなら当歳せりに上場しようと考えたんです」と伊藤さんは自信を持ってセレクトセール・当歳市場へ上場、全兄のオーナーでもある大川徹氏に945万円(税込)で落札された。

 「せり後、大川オーナーが鹿戸雄一調教師を連れて来られて、鹿戸先生のところへ預けるからと挨拶させていただきました。その時先生から同じ父グラスワンダーのG1馬、スクリーンヒーローくらい活躍させますと言ってもらったことを今でも覚えています」とG1馬を育て上げた敏腕トレーナーの心強い言葉に、まだ当歳だった生産馬の未来を託した。

 持ち前のスピードを武器にスターダムを駆け上がったスマートオリオン。短距離界の頂上決戦、高松宮記念(G1)へのチケットを手に入れた。

 「まだまだ伸びしろはあるだろうし、相手関係、レース展開に左右されず自分のレースができる強みがあります。あとは己との戦い、怪我なく力を出し切って欲しい。」伊藤さんは師の言葉を胸に、一層の高みを目指すスマートオリオンにエールを送った。