重賞ウィナーレポート

2014年02月02日 シルクロードS G3

2014年02月02日 京都競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ストレイトガール

プロフィール

生年月日
2009年03月12日 05歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:19戦8勝
総収得賞金
545,424,000円
フジキセキ
母 (母父)
ネヴァーピリオド  by  タイキシャトル(USA)
馬主
廣崎 利洋
生産者
岡本牧場 (浦河)
調教師
藤原 英昭
騎手
岩田 康誠
  • 同牧場で繁殖生活を送る祖母フューチャハッピー
    同牧場で繁殖生活を送る祖母フューチャハッピー
  • 繁殖牝馬として今も健在
    繁殖牝馬として今も健在
  • 牧場の厩舎
    牧場の厩舎
  • 牧場はBTCの近くに位置する
    牧場はBTCの近くに位置する

 絶対王者ロードカナロアが引退し、混沌とする短距離戦線。前哨戦の一つ、シルクロードステークス(G3)は勢いある牝馬ストレイトガール、レディオブオペラが人気通り上位を争い、最後はストレイトガールが抜け出して重賞初Vを飾った。

 本馬の生産は浦河町の岡本牧場。昭和6年創業で、過去には中長距離重賞でメイショウビトリアや皐月賞(G1)2着のオースミブライト、牝馬重賞馬オースミコスモ、ピエナビーナス、ダート交流重賞馬ホワイトメロディー、マルブツトップらを生産している。家族経営の牧場で、繁殖牝馬は5頭。

 レース当日、京都競馬場で観戦していた同牧場代表の岡本章さんは、「昨夏の函館戦の時から、よく現地で応援しているのですが、会うたびに成長を感じていました。以前は輸送が苦手なタイプでしたが、前走の中京戦ではイレ込みも少なく勝てましたし、今回もパドックから落ち着いていました。ゴールした瞬間は本当に嬉しかったです。馬の頑張りを誉めたいです。」と、喜びを語る。ファンエリアで勝利を見届けた後、関係者揃って口取りに入った。了承を得て、表彰台には岡本さんの中学2年生のお子さんが立った。5年ぶりとなる生産馬による重賞制覇をかみしめながら、携帯電話には沢山の着信とメールが押し寄せていた。

 父フジキセキ、母ネヴァーピリオド、母の父タイキシャトルという血統の本馬は、2009年3月12日に同牧場で生まれた。母と祖母フューチャハッピーは同牧場生産馬で、牝系からは桜花賞馬シャダイカグラ、同牧場生産の活躍馬オースミブライト、オースミコスモが名を連ねる。

 母は現役時代、短距離で3勝(JRA)。3歳時は重賞にも駒を進めた。軽快なスピードを生かす前々の戦法は、本馬の走りにも通じている。4歳夏の函館戦を最後に引退し、牧場へ帰ってきた。「繁殖入りした当時は小柄だったので、母としての体づくりに努めました。フューチャハッピーと一緒に放牧していて、母仔揃って安心したように過ごしていました。」

 オーナーが交配相手を決め、繁殖牝馬として2番目に生んだ仔が本馬だった。「小ぶりでしたが、当歳の頃からタフさがありましたね。体調が崩れかけてもすぐに持ち直して、ガタっとくることがありませんでした。母譲りのピリッとした気性の持ち主で、人間に対しては手のかからない、素直な馬でした。」と、幼少期を振り返る。

 1歳秋からは新冠町の小国スティーブルに移動し、順調に競走馬への階段を上がった。「育成時期から高いスピード能力を感じさせていました。ゲート練習をすると非常に早く、他の馬と違っていたのを覚えています。2歳時はまだ幼かったのですが、古馬になって馬が完成されてきた印象です。藤原英昭厩舎で無理せず仕上げられたのが、能力開花につながっていると思います。」とは、小国スティーブル代表の小国和紀さん。同じ育成馬のコパノリッキー、コパノリチャードらと同じく、G1戦線をにぎわす走りを楽しみにしている。

 心身ともに本格化を迎え、磨き上げられたスピードは一流の域に達している。振り返れば、一年前はまだ500万クラスの身。シンデレラのような足取りで、大きな舞台に近づいてきた。その戦歴はまるでさえぎるものがない、まっすぐな道を築いている。「この結果は、廣崎利洋オーナー、藤原英昭厩舎、育成牧場の小国スティーブル、吉田ファーム、種付けでお世話になった社台スタリオンステーションの角田修男獣医師とスタッフの方々、携わった皆さん全ての努力の賜物だと思います。今後も無事に走ってきて欲しいと思います。それが何よりですね。G1出走となれば、応援に行きたいと思います。」と、岡本さんは親心を見せつつ、彼女が最高に輝く瞬間に思いを馳せている。