重賞ウィナーレポート

2014年02月23日 フェブラリーS G1

2014年02月23日 東京競馬場 晴 良 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:コパノリッキー

プロフィール

生年月日
2010年03月24日 04歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:9戦5勝
総収得賞金
995,144,000円
ゴールドアリュール
母 (母父)
コパノニキータ  by  ティンバーカントリー(USA)
馬主
小林 祥晃
生産者
ヤナガワ牧場 (門別)
調教師
村山 明
騎手
田辺 裕信
  • 殊勲の母コパノニキータ
    殊勲の母コパノニキータ
  • 当歳はコパノリッキーの全妹(牝、父ゴールドアリュール)
    当歳はコパノリッキーの全妹(牝、父ゴールドアリュール)
  • G1馬となった兄の当歳時にそっくりと評判
    G1馬となった兄の当歳時にそっくりと評判
  • 広い事務所いっぱいに届けられた祝花
    広い事務所いっぱいに届けられた祝花
  • 並べられた記念品の数々
    並べられた記念品の数々

 今年最初のJRAG1ウイナーとなったのは、抽選をくぐり抜け初の大舞台に臨んだ最低人気コパノリッキーだった。

 コパノリッキーを生産したのは、日高町のヤナガワ牧場。昭和42年に創業した同牧場は、2007年のフェブラリーS(G1)を制したサンライズバッカス以来となるG1勝利に沸いた。レース当日は梁川正普代表が競馬場へ向かい、妻あゆみさんは牧場の事務所でテレビ観戦していたそう。初めて見る生産馬のG1勝利、そしてお祝いに訪れた来客や電話の対応に追われ、あっという間に祝花で埋め尽くされて行く事務所。怒濤のように過ぎ去る時間に「嫁いでから初めてのG1勝利でしたから、こんなに凄いことなんだと改めて知りました」と目を丸くしていた。

 一方、Dr.コパ氏こと小林祥晃オーナーと共に現地で応援していた梁川正普代表は、当日のラッキーフードだった「肉」をしっかり食べ、パドックへ向かった。「オーナーと一緒にパドックの内側へ入ったんですが、ふっとオッズ板を見るとうちの馬のオッズがどんどん上がって行くのが見えて…いたたまれない気持ちでずっとソワソワしていました。3歳春に骨折するまでとても強かった馬ですから、来年はキチンと実績を積んで、またこのレースに出走できるといいな、とか先の事ばかり考えてました」と笑った。

 スタート良く飛び出し、終始2番手を追走したコパノリッキーは、4コーナーを回ると先頭へ躍り出た。だが、梁川さんの視界には追撃をはじめる有力馬たちの姿が飛び込んで来る「頑張れ、ここまで来たら凌ぎきってくれ!」声にならない祈りが届いたのか、追いすがるホッコータルマエとの距離は縮まることなく、1/2馬身差を保ったまま先頭でゴールした。

 「コパさんが隣で机をバンバン叩いて声援を送っていたんですが、全く聞こえなかったくらい無我夢中でした。ゴールした後も茫然自失。強いコパノリッキーが戻って来てくれた、胸がいっぱいでした」

 表彰式の後、厩舎へ向かい一列に並んでコパノリッキーに頭を下げたという梁川さんと小林オーナー。「ありがとうと言う気持ちをどうしても伝えたかった。本当に“頭が下がる思い”だったから」と生産馬に心から敬意を表した。

 コパノリッキーの母コパノニキータは、名前が示す通り小林祥晃オーナー所有の競走馬。JRA3勝を上げ、故郷のヤナガワ牧場で繁殖入りした。「ニキータ自身ダート1600~1800で勝っていたので、配合相手もダートに強い種牡馬を選んで来ました」ゴールドアリュール産駒のエスポワールシチーが活躍していた2010年、母の3番仔としてこの世に生を受けたコパノリッキー。梁川さんは「あまりダート馬っぽい体ではありませんでしたね。大きいけど線が奇麗で、今思えば父ゴールドアリュールに似たタイプでした」と振り返った。

 今年、コパノニキータはリッキーの全妹となるゴールドアリュールの牝馬を出産。「牝馬ですがリッキーの当歳時にソックリ。順調に育って欲しいです」と声を弾ませた。

 ダート界の王道へと続く扉を、自分の力で切り開いたコパノリッキー。王者としての戦いははじまったばかりだが、骨折を乗り越え大金星をあげた不屈の精神で突き進んで行くだろう。