重賞ウィナーレポート

2013年11月10日 エリザベス女王杯 G1

2013年11月10日 京都競馬場 雨 重 芝 2200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:メイショウマンボ

プロフィール

生年月日
2010年02月25日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:10戦6勝
総収得賞金
435,195,000円
スズカマンボ
母 (母父)
メイショウモモカ  by  グラスワンダー(USA)
馬主
松本 好雄
生産者
高昭牧場 (荻伏)
調教師
飯田 明弘
騎手
武 幸四郎
  • 浦河町野深地区に牧場を構える
    浦河町野深地区に牧場を構える
  • 砂を深くした調教コース
    砂を深くした調教コース
  • メイショウマンボが育った育成場
    メイショウマンボが育った育成場
  • 牧場の看板
    牧場の看板

 それはまぎれもない、確たる女王誕生の瞬間だった。京都競馬場で行われたエリザベス女王杯(G1)は3歳牝馬のメイショウマンボが古馬を撃破。優駿牝馬オークス(G1)、秋華賞(G1)に続いて3つ目の牝馬G1を獲得し、現役を代表する牝馬であることを改めて示した。

 名牝ともいえる境地に達しようとしている本馬は、浦河町にある高昭牧場の生まれ。1981年のエリザベス女王杯優勝馬アグネステスコの故郷で、今年は本馬の他に生産馬ホッコーブレーヴも国際G1に挑んでいる。育成機能も兼ね備えている牧場で、ダート路線の現役トップクラス・ホッコータルマエは幼少期を過ごした一頭に数えられる。

 今回レースを振り返ってくれたのは上山貴永さん。同牧場の上山泰憲社長の息子さんで、若きホースマンとして強い馬づくりに励んでいる。「レースは応援馬券を買って、自宅のテレビで見ていました。イレ込みもなく、馬体は素晴らしく映りましたね。前走でG1を勝っていますから、今回はマークも厳しくなると想像していましたが、序盤から良い位置を走っていて、安心して見ていられました。武幸四郎騎手とはずっとコンビを組んでいますし、息もぴったりですね。勝負所で外に持ち出した時、突き抜けてくれると予感しました。最後の直線は声が出ましたね。今回も本当に強い競馬をしてくれたと思います。」と、感動の場面を思い返す。春のクラシック制覇は9番人気だったものの、一連の秋の快勝劇は上位人気に推されての堂々V。上がり馬にも負けず、古馬にも負けず、迎え撃つ立場での勝利はズシリと重い。

 本馬誕生の流れは祖母メイショウアヤメから3代にわたる。2歳戦から活躍し、桜花賞(G1)の舞台に立った祖母と、その初仔メイショウモモカは同牧場育成馬で、入厩前のバトンを握っていた。メイショウモモカは母系の特徴の一つである勝った気性が災いし、満足な競走成績を残せなかったが、同牧場で繁殖入りし、G1馬の母となった。

 「代々手がけている血統で大きな結果を出せて、本当に特別な思いです。牧場にいた頃のメイショウマンボは肉づきの良い、バランスのとれた馬でした。丈夫な血統で十分に調教を積むことができ、順調に育ってくれました。牧場でまたがっていたスタッフは、『能力を感じます』と高く評価していたのを覚えています。」と、貴永さんは振り返る。当時、砂を深くした調教コースで基礎を固め、時計を出す時はBTCを利用した。試行錯誤を重ねて編み出した戦略をもって、原石は確かに磨かれていった。

 本馬の功績は自身以外にも光を射している。父スズカマンボに産駒初G1を、祖父グラスワンダーにBMSとして初G1をもたらし、その血統に大きなパンチを効かせた。それぞれ日本で活躍した馬とあって、喜んでいるファンも少なくないだろう。また、母系は6代母から日高管内産馬で、浦河ゆかりの名馬シンザンの血が流れる。欧米輸入牝馬を母に持つ重賞馬が目立つ近年、かのプロフィールはまるで松の木のように息づく。オリンピック代表選手のように成長した今、応援したくなる背景が絵になる。激闘から10日後に休養が発表されながら、暮れの有馬記念(G1)ファン投票では4万を超える票を集め、人気も上昇一途をたどっている。

 「天皇賞馬スズカマンボの血を受け、距離適性に幅がありますね。古馬になってG1を勝った父のことを考えると、来季以降の走りも楽しみです。今回も地域の皆さんから沢山祝っていただき、町の垂れ幕や祝賀ポスターを見ていると、嬉しくなります。またファンの皆さんに感動を与えるような走りを見せて欲しいです。」