2013年11月03日 みやこS G3
優勝馬:ブライトライン
プロフィール
- 生年月日
- 2009年05月06日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/青毛
- 戦績
- 国内:20戦6勝
- 総収得賞金
- 271,504,000円
- 父
- フジキセキ
- 母 (母父)
- シェリーズスマイル(USA) by キングオブキングス(IRE)
- 馬主
- (株) ノースヒルズ
- 生産者
- ノースヒルズマネジメント (新冠)
- 調教師
- 鮫島 一歩
- 騎手
- 福永 祐一
重賞馬10頭が集う超豪華G3戦と化したみやこS(G3)はブライトラインが早目先頭から押し切り、インカンテーションの猛追をハナ差凌いで優勝。3歳時に制した芝のファルコンS(G3)に続いてダートでも結果を出し、来る大一番・ジャパンCダート(G1)へ弾みをつけた。
本馬の生産は数々のG1馬を送り出しているノースヒルズ。新冠町の美宇地区に広い牧場を構え、同牧場グループの育成施設・大山ヒルズ(鳥取県)と連携し、生産・育成を行っている。過去にはアーネストリー、トランセンド、ノーリーズン、ファレノプシス、ヘヴンリーロマンスらG1馬が巣立ち、現役では今年の日本ダービー馬キズナを筆頭に、クラレント、トレイルブレイザー、ビートブラック、ヒットザターゲットといった実績馬が競馬場を沸かせている。また、育成馬としてアースソニック、ベルカントが11月の京阪杯(G3)、ファンタジーS(G3)を制している。
「優勝できて嬉しいです。道中はオーブルチェフ(同牧場育成馬)と合わせて、走りを追っていました。鞍上の福永祐一騎手が能力を存分に引き出してくれました。鮫島調教師をはじめとする厩舎スタッフには感謝しています。ダートのレースに出走するようになって、さらに良い筋肉がつき、ますますパワーアップしてきた印象を受けます。これで賞金を加算できましたし、大きいレースにも駒を進められますね。」と、喜びを語ってくれたのは、同牧場のゼネラルマネージャーを務める福田洋志さん。同牧場としては2010年のトランセンドに続くみやこS(G3)V。歴代勝ち馬にズラリG1馬が並ぶレースを制し、大きなステップを踏んだと言える。
2009年生まれの本馬はフジキセキ産駒の牡馬。母シェリーズスマイルの3番仔として生まれた。「当歳時から大きな馬でしたね。そのあたりは母の特徴を受け継いだのだと思います。血統や馬体、動きの良さから牧場での評価は高く、期待の1頭でした。大山ヒルズでも順調に調教を消化でき、スムーズに入厩へと至りました。」と、福田さんは振り返る。同世代で重賞馬のクラレントとは共に幼少期を送った間柄で、競走馬になってからは良きライバルとして、日本ダービー(G1)、NHKマイルC(G1)などで顔を合わせている。
米国生まれの母シェリーズスマイルは英国2000ギニー馬キングオブキングスの直仔で、フェアリーS(G3)、クリスタルC(G3)を制したサーガノヴェルの半妹にあたる。故障のため不出走で繁殖入りし、3頭の仔を出産した。2011年に疝痛のためこの世を去ったが、最後の仔となった本馬が重賞馬となり、2番仔のラフアウェイ(牝5歳、父タイキシャトル)もJRAで現5勝をマークしている。
「姉のラフアウェイは先々、シェリーズスマイルの血をつぐ後継として牧場に帰ってくる予定です。実績の血統ですし、繁殖牝馬としても当然期待しています。」と、福田さん。厚みを増したブラップタイプを引っさげ、一族の更なる繁栄を目指す。
ダート戦に矛先を向けてからは5戦3勝3着2回と好成績を収める本馬。ついにはG1馬を破って重賞勝ちを収め、青い躍動は一気に頂上へと線を描く。福田さんは、「これからも無事に、息の長い活躍を願っています。2歳からよく走ってくれていますが、ここに来て更に力をつけていますからね。大きな舞台でも楽しみです。」と、期待を込める。目下の快進撃は、一時代を築いた先輩の背中さえも映し出している。
3歳クラシック以来のG1出走となる日には、同牧場から応援のスタッフが駆けつける予定だ。愛馬の晴れの舞台を間近で見るスタッフにとっては、いつにも増して興奮に満ちた週末となるだろう。
「競馬場までは容易に行ける距離ではありませんが、ノースヒルズで育った馬達がG1に出走する際には、スタッフが交代で応援に向かいます。牧場開設当時からの方針で、スタッフにとって励みの機会となっています。また、競馬場は優れた競走馬を直接見る絶好の機会です。仔馬たちを競走馬として育てていく上で、これほどの勉強の機会はありませんからね。」と、福田さんはそのアクションの含みに触れる。競馬場への往復切符は、素晴らしい人材を作るためでもある。ファンの歓声と愛馬の力走は、ホースマンにとってこの上ないモチベーション。独特の緊張感に包まれた中、そこに立つ喜び、学びは得難い。毎週のように続く生産馬・育成馬による大舞台へのいざないに、故郷のムードは攻勢を示している。