2013年09月08日 セントウルS G2
優勝馬:ハクサンムーン
プロフィール
- 生年月日
- 2009年02月14日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:17戦7勝
- 総収得賞金
- 370,109,000円
- 馬主
- 河崎 五市
- 生産者
- 白井牧場 (門別)
- 調教師
- 西園 正都
- 騎手
- 酒井 学
自在性を身に付けた絶対王者を追い詰めたのは、迷いがない逃げ戦法だった。
「第27回セントウルS(G2)」を制したのは2番人気のハクサンムーン。スタートダッシュこそ今一つだったが、二の脚早くあっさりとハナを奪うとマイペースに持ち込んでゴール前では迫るロードカナロアの追撃を退けて先頭でゴールへと飛び込んだ。昨年の京阪杯(G3)、今年のアイビスサマーダッシュ(G3)に続く重賞3勝目。そして、この勝利でJRAサマースプリントシリーズのチャンピオンとなった。
ハクサンムーンを生産したのは日高町の白井牧場。生産部門と育成部門を併せ持つ総合牧場として、過去には桜花賞馬チアズグレイスやフェブラリーS(G1)の覇者グルメフロンティアなどを送り出している牧場だ。
「春の高松宮記念(G1)ではハクサンムーンがあっさりと交わされているところを目の当たりにしてますし、海外でも負けなかったロードカナロアは、とにかく別格の馬だと思っていました。ですから、ゴールの瞬間は、とにかく嬉しかった。それに尽きます。その言葉以外に見当たりません」と喜びを表現したのは阪神競馬場でハクサンムーンの勝利を見届けた白井岳社長だ。レース前のパドック、そして本馬場入場と激しさを前面に押し出す生産馬を、あえて見ないようにしてレースの時間を迎えたという。
「逃げ馬ですから、前半、どれくらいのペースでいけるかをとくに気にして見ていました。うまく34秒台で逃がしてもらえれば勝機があるかもしれない」という白井さんの期待は裏切られ、前半3ハロンは33秒8。しかし、牧場主の想像を超えるほどに力をつけたハクサンムーンは後半3ハロンを33秒7でまとめてゴールへと飛び込んだ。2着ロードカナロアとの差はクビだったが、3着ドリームバレンチノ以下には3馬身半差。スプリントレースとしては圧倒的な差ともいえる。
「今回は相手が休み明けでしたし、斤量差もありました。でも、牧場としてはとにかく結果が欲しかった。嬉しかったです」と笑顔を広げている。
牧場時代のハクサンムーンは「自分で言うのも口はばかりますが、良い馬だったという印象でした。生まれたばかりの頃は、体の割には後駆の張りが良い馬だなぁと思っていたところ、どんどん体に身が入ってきましたので、自信をもって当歳市場に上場させた馬です」。そして、5,250万円(税込)という値が付けられた。「あのときも嬉しかったです。自分たちがやってきたこと、仕事に対して、そういう評価をいただいたことが嬉しかったです。あのときの市場でいただいた評価は、生産という仕事を続けていくうえで、ひとつの指標になりました」という。
「牧場としては、まだまだ上を目指したい。生産馬全体を底上げして勝ち上がり率を高めていけるように頑張ります」。その目はハクサンムーンのレースぶり同様に、まっすぐと前を向いているように見えた。