2013年05月19日 オークス G1
優勝馬:メイショウマンボ
プロフィール
- 生年月日
- 2010年02月25日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:7戦4勝
- 総収得賞金
- 435,195,000円
- 父
- スズカマンボ
- 母 (母父)
- メイショウモモカ by グラスワンダー(USA)
- 馬主
- 松本 好雄
- 生産者
- 高昭牧場 (荻伏)
- 調教師
- 飯田 明弘
- 騎手
- 武 幸四郎
牝馬クラシック第2冠目、優駿牝馬オークス(G1)はメイショウマンボが直線で鮮やかに抜け出し、樫の女王の座に輝いた。
本馬の生産は浦河町の高昭牧場。1981年のエリザベス女王杯を制したアグネステスコや、本馬と同じく桜花賞トライアル・報知杯4歳牝馬特別(G2)(現フィリーズレビュー)を快勝したサイコーキララを生産している。
「人気はありませんでしたけど、レース前は内心、勝利を意識していました。近走、減っていた馬体重が増えていましたし、パドックで馬を見ていて、これは素晴らしい状態だなと思いました。道中は逃げた馬が引っ張っていたので、流れも向くような予感がしました。抜け出すのが少し早いかなと思いましたが、先頭に立った瞬間は勝てると思いました。満点のレース運びでしたね。レース後は皆、涙ぐんでいました。」と、感動の一幕を語ってくれたのは、同牧場の上山泰憲社長。念願のG1制覇の味をかみしめている。
「G1を勝てたのは、松本好雄オーナー、飯田明弘厩舎、武幸四郎騎手、生産にあたって面倒をみてくださった三嶋昌春さん、皆さんのおかげです。オーナーの地元・明石市や浦河町の商店街ではメイショウマンボの優勝ポスターが掲示されていて…多くの方に勝利を喜んでいただけたことも喜びです。」と、頬を緩める。レース後は明石市での祝勝会に出席し、慌ただしく浦河町に帰った。ドアを開けて最初に見た光景は、床一面を埋め尽くす沢山のお祝いのお花、お酒の数々。取材に訪れた際、記念写真に収まる繁殖・育成スタッフの皆さんは、一様に晴れやかで、誇らしい表情を見せてくれた。
線のきれいな体、全体に欠点の少ない馬として、本馬は同牧場で順調な幼少期を送った。祖母メイショウアヤメ~母メイショウモモカと手がけてきた血統だけに、心身の特徴、成長の流れは十二分に手の内に入っていた。2歳春、同牧場でその背にまたがっていたのが、育成スタッフの遠藤聡志さん。「少し気性のキツイ部分はありましたけど、乗りやすかったですね。フットワークに優れ、トモの力強さは際立っていました。」と、笑顔で思い返す。砂を深くした調教コースでみっちり基礎体力をつけ、早い時計はBTC に運んでマーク。恥ずかしくない競走成績を残せるという自信を持って、飯田明弘厩舎に送り出した。
現在、同牧場では本馬の半弟(牡2歳、父メイショウオウドウ)が鍛錬を積んでいる。「ややテンションの高い面がありますけど、動きは上々です。血統的には芝向きでしょうね。これから実が入っていく馬なので、慌てずに調教を進めていきたいと思います。」と、上山社長は紹介する。秋以降のデビューを予定し、メイショウ色に満ちた配合馬で更なる一発を狙う。マイペースの仕上げが功を奏すだろう。
堂々の競馬でライバルを完封し、3歳牝馬トップレベルの実力を示した本馬。芝1400m、芝2400mでの重賞勝利からは、抜きん出た絶対能力、高次元のスピードとスタミナを感じさせる。先々は対国内一流牡馬のみならず、世界に挑戦するシーンもあり得るのではないか。
「また大きなタイトルに挑んでくれることを、楽しみにしたいです。私自身は、凱旋門賞(G1)を意識できる馬になってくれるのではと思っています。実は以前、メイショウサムソンが凱旋門賞(G1)に出走した時、現地で応援していたのです。苦しいレースになりましたが、今度はこの場に生産馬を送り出したい、またロンシャンに行きたいという思いが募りました。マンボへの期待は広がりますね。まずは無事に夏を越して欲しいです。」と、上山社長の胸中は希望に満ち溢れる。大観衆を前に快走を果たした生産馬は、心に世界の風を吹かせている。