今年から施行時期、距離が変更になった新生平安S(G3)は、1番人気に推されたダートG1馬、ニホンピロアワーズが59キロのトップハンデを物ともせず、横綱相撲で重賞勝ちをおさめた。

　ニホンピロアワーズの故郷は、新ひだか町静内豊畑の片岡牧場。片岡正雄さん、明子さん夫婦二人三脚で牧場を切り盛りしているが故、繁忙期に競馬場へ行くことは難しかった。

　「アワーズの母ニホンピロルピナスが5月11日出産予定だったんですがまだ兆候を見せず、牧場を離れることはできませんでした。今回は負けられないメンバーでしたし、期待していたんですけどね」と正雄さん。その期待は多くのファンの期待でもあり、ニホンピロアワーズは1番人気に。「1番人気になるのは久々でしたが、いつも人気に応えてくれる馬なので。絶好の位置で4コーナーを回った時に勝利を確信できました。これまでも掲示板を外したことは最初のジャパンCダート(G1)の1回きり(9着)で安定した成績を残していたんですが、G1を勝ってからはより一層安心してレースを見られるようになりましたね」と笑顔で語った。

　予定日から2週間遅れた5月25日、ニホンピロルピナスは父シンボリクリスエスの牡馬を無事出産、日々ヤンチャに成長している。「ルピナスはサンデーサイレンスの血を引いているだけあってテンションが上がりやすく、気性はキツいです。それでもお産は軽いし子育てはしっかりやってくれる、母親としては優秀です。子供たちはとにかく元気で、いつ見ても走り回ってる。走ることが好き、というのが産駒の共通点かな。ルピナス自身もよく走るし、初仔のアワーズも母と一緒に走っていた姿が記憶にあります」と話す正雄さんの前を軽快に駆け抜けていくルピナス親子。すでに英才教育がはじまっているようだ。

　次走帝王賞(Jpn1)で更なる栄冠を目指すニホンピロアワーズは、5歳でダート界の頂点に立ち、今度は追われる側に回る。迎え撃つ地方勢も強力な布陣でチャンピオンに挑んでくるだろう。ここを打破してこそ真のダート王者、正雄さんは「自分は現地で応援できるかどうかはまだわからないけど、熱心なファンの方たちがいつも応援に行ってくれているんです。ファンの声援って不思議な力を持っていて、今のアワーズの活躍を後押ししてくれているように感じます。自分が行くよりよっぽど力になると思うんで、皆さんの期待に応えられるよう頑張って欲しい」と笑顔でエールを送った。