重賞ウィナーレポート

2013年04月06日 阪神牝馬S G2

2013年04月06日 阪神競馬場 雨 良 芝 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サウンドオブハート

プロフィール

生年月日
2009年02月12日 04歳
性別/毛色
牝/栗毛
戦績
国内:9戦6勝
総収得賞金
172,611,000円
アグネスタキオン
母 (母父)
シンメイミネルバ  by  Caerleon(USA)
馬主
(有) ターフ・スポート
生産者
タイヘイ牧場 (静内)
調教師
松山 康久
騎手
池添 謙一
  • サウンドオブハートの甥となる当歳馬(牡、父アドマイヤムーン、母モンテミウ)
    サウンドオブハートの甥となる当歳馬(牡、父アドマイヤムーン、母モンテミウ)
  • サウンドオブハートの半姉モンテミウ(父ボストンハーバー)
    サウンドオブハートの半姉モンテミウ(父ボストンハーバー)
  • 牧場からは太平洋が見渡せる
    牧場からは太平洋が見渡せる
  • 牧場の看板
    牧場の看板

 上半期の古馬牝馬G1へ向けての前哨戦、阪神牝馬ステークス(G2)はサウンドオブハートが中団から抜け出し、重賞初制覇を飾った。

 本馬の生産は北海道新ひだか町静内、青森県に拠点を持つタイヘイ牧場。過去には短距離G1馬サニングデール、ジャンプレースの王者ゴーカイ、最近では現役屈指の逃げ馬シルポートが競馬場を沸かせている。小高い山の上にある静内真歌の牧場では、繁殖牝馬と当歳馬がおり、主に種付け~離乳期間を手がけている。現在、繁殖牝馬は34頭。

 「待望の重賞勝ちとなりました。レース当日、阪神競馬場は雨でしたが、同じ母系出身のシルポートが道悪上手なので、馬場が渋ってもこなせると思っていました。直線では応援に力が入りましたね。先頭でゴールした瞬間はホッとしました。牧場で大事につないでいる血統でもあり、本当に嬉しいです。」と、レースの感想を語ってくれたのは、同牧場ゼネラルマネージャーの八尾圭樹さん。これまでオープン特別を4勝するも、重賞では3着、4着、4着。悔しい思いが、最後の直線の踏ん張りにつながったのかもしれない。

 時は2009年。母シンメイミネルバの7番仔として生まれた本馬は、当歳時から一目置く存在感を示していた。「華やかさがあって、あか抜けた馬でしたね。血統的な特徴で馬体はやや小柄でしたが、放牧地での動きは軽やかで、優れたスピードを感じさせていました。」と、八尾さんは振り返る。明け1歳の時点で、牧場では“この馬で桜花賞を”という言葉が飛び交っていたというから、その素質はピカイチだったのだろう。青森県の同牧場で中期育成した後、1歳夏に平取町の坂東牧場へ移り、美浦・松山康久厩舎入厩に至った。

 母系との縁は15年以上前にさかのぼる。同牧場がアイルランドにてウッドマン肌の繁殖牝馬フジャブを購入。カーリアンを宿して生んだ初仔が本馬の母シンメイミネルバだった。フジャブの血脈からは堅実に勝ち馬が現れ、2番仔スペランツァは重賞馬シルポートの母となった。シンメイミネルバは9頭の仔を出産し、本馬以外にも4勝馬、2勝馬を送り出している。

 「シンメイミネルバはカーリアンに似て頭が小さく、細身で胴の長い馬でした。産駒は芝向きのスピードに長けています。」と、八尾さんは伝える。残念ながらシンメイミネルバは昨年、父マンハッタンカフェの牝馬を生んだ後に亡くなってしまったが、牧場ではミネルバサウンド、モンテミウの2頭が後継牝馬として一族繁栄に努めている。

 「最後の仔(現1歳)はサウンドオブハートとタイプは違いますが、能力を感じます。人間に対して従順で利口ですし、距離の融通性も利きそうです。ミネルバサウンドとモンテミウも順調に繁殖生活を送っています。こちらも産駒の出来は良く、期待しています。」と、八尾さんは声を弾ませる。

 安定感たっぷりの戦歴に重賞タイトルを加え、ますます信頼度を増した本馬。次走予定のヴィクトリアマイル(G1)でも上位人気必至だろう。舞台を問わず好走を繰り返しているだけに、初の東京コースも心配には及ぶまい。

 「G1制覇のチャンスだと思いますし、楽しみですね。G1出走週はスポーツ新聞に連日記事が出るので、本当に幸せで、ワクワクする1週間ですね。レースでは全力を発揮して欲しいと思います。そして、先々は無事に牧場へ帰ってきて欲しいです。」と、八尾さんは胸中を明かす。NHKマイルカップ(G1)が終われば、サウンドオブハートの文字が各紙面をにぎわすだろう。桃色と黒のコーディネートを携えながら、一面を飾る日も近い。