重賞ウィナーレポート

2013年03月24日 高松宮記念 G1

2013年03月24日 中京競馬場 晴 良 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ロードカナロア

プロフィール

生年月日
2008年03月11日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:14戦9勝
総収得賞金
669,958,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
レディブラッサム  by  Storm Cat(USA)
馬主
(株) ロードホースクラブ
生産者
ケイアイファーム (三石)
調教師
安田 隆行
騎手
岩田 康誠
  • ケイアイファームにて育成中のロードカナロアの半弟、レディレディブラッサムの2011(父マンハッタンカフェ、栗東・安田隆行厩舎)。
「馬体に幅があるのは兄姉と共通するところ。父がマンハッタンカフェに替わって、距離がどこまで保つか楽しみ」と中村さん。
    ケイアイファームにて育成中のロードカナロアの半弟、レディレディブラッサムの2011(父マンハッタンカフェ、栗東・安田隆行厩舎)。
    「馬体に幅があるのは兄姉と共通するところ。父がマンハッタンカフェに替わって、距離がどこまで保つか楽しみ」と中村さん。

 モニターには高々と腕を振り上げる岩田康誠騎手が映っていた。スピーカーからは“これが世界のロードカナロア!”とその走りを賞賛する声が聞こえてくる。

 高松宮記念(G1)当日、牧場のTVモニターでレースを見届けていたケイアイファームの中村智幸さんはゴールの瞬間、ホッと息を吐いたという。

 「スプリンターズS(G1)の時は競馬場で見ていたこともあって、興奮していて、ただただ嬉しいという気持ちでした。今回はテレビ観戦だったので相手関係などレース全体が見渡せて、どこか冷静に見ていましたね」。

 結果を見ればさすがの完勝劇だったが、じつは戦前の中村さんの見立ては「絶好だった香港スプリント(G1)の時と比べれば8割位」だった。1200mという距離条件では何が起こるかわからない面もあり、100%の自信までは持てなかったという。

 「だから、ゴールした瞬間は“ああ良かった”という安堵感でいっぱいでした。実際、直線で追い出してからの反応はいつもより少し鈍かったのですが、あそこからきっちり伸びて勝ちきるのだから大した馬ですね。本当に強くなりました」。

 昨年の高松宮記念(G1)は1番人気の支持を受けながらコンマ1秒差の3着。改めて「G1の舞台は甘くない」と思い知らされた。素質だけでも、運だけでもダメ。もてる能力が最大限に引き出されて、タイミングや巡り合わせが合い、運が味方しなければ勝てないもの。それがG1タイトルなのだと、これまで手がけてきた多くの競走馬たちが教えてくれた。

 ほろ苦い結果となった2012年の高松宮記念(G1)から1年。この間に1枚も2枚も皮がむけ、真の実力を身につけたロードカナロアは、G1タイトルを獲るのに必要なすべてを持っていた。少しの出遅れ、ほんの少しの反応の鈍さも今のロードカナロアにとってはハンデにすらならなかった。上がり3ハロンはメンバー最速の33秒2。1分08秒1のコースレコードで、日本馬初となるスプリントG1 3勝の偉業を成し遂げた。

 今後のプランについては白紙ながら「負けられない立場でのレースが続きます。馬の状態を見極めながら1戦1戦、大事に選択していきたい」と中村さん。

 この先には一体何が待っていて、何が見えてくるのか。ロードカナロアがこれから歩んでいくのは、これまで誰も通ったことがない道である。