重賞ウィナーレポート

2013年02月17日 フェブラリーS G1

2013年02月17日 東京競馬場 晴 良 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:グレープブランデー

プロフィール

生年月日
2008年04月11日 05歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:16戦7勝
総収得賞金
372,456,000円
マンハッタンカフェ
母 (母父)
ワインアンドローズ  by  ジヤツジアンジエルーチ(USA)
馬主
(有) 社台レースホース
生産者
社台ファーム (千歳)
調教師
安田 隆行
騎手
浜中 俊

 リーディング生産牧場に幾度となく輝いた社台ファームだが、まだ勝ってない中央のG1タイトルが3つある。1つはジャパンカップダート(G1)。もう1つは意外なことに宝塚記念。そして今回、グレープブランデーがフェブラリーS(G1)を勝利して、中央G1完全制覇のピースをまた1つ埋めた。

 「今回の勝利に関してはフェブラリーS(G1)の前の2戦で、騎乗していただいたルメール騎手が乗った成果が大きく出たように思います。500㎏を優に超える大型馬で、なおかつ常に人気に支持される馬ということもあり、デビューから外を回るレースが多かったのは事実でした」とは社台ファームの吉田哲哉氏。ルメール騎手がグレープブランデーに騎乗したのはジャパンカップダート(G1)からになるが、その時の騎乗で持ち味を掴んだのか、1年半ぶりの重賞勝利をあげた東海S(G2)では、3コーナーからインコースに進路を向ける。

 「4コーナーでもインコースにいたグレープブランデーは、直線で外に進路を取ったので、ゴール前の姿はいつものレースをしたようにも見えます。でも、道中でインコースを付いた経験があったからこそ、今回のレースに生かされたのでしょう」(吉田氏)

 ルメール騎手の手綱によって、新境地を切り開いたグレープブランデーを、先頭でゴールまで導いたのが阿蘇Sで復帰後の初勝利をあげた浜中騎手だった。

 「スタート後、他の馬がインコースに殺到する内枠のスタートにも関わらず、いつもと変わらず走ってこれたことが、前走で学んだことを生かしてくれた何よりの証明です。ルメール騎手が学ばせたことを生かしながら、なおかつ最高のパフォーマンスに結びつけた、浜中騎手の手腕にも感謝するばかりです」(吉田氏)

 もう1人、殊勲の人物をあげるとするなら、管理をしている安田調教師だろう。

 「1歳の春先、安田調教師に初めて馬を見ていただきました。母系は細身の馬体ながらも、レース数を多く使えるのが強みであり、なおかつこの馬自身の力強さがあれば、タフに出走数をこなす安田厩舎の戦力になると思ったことが、グレープブランデーを預託していただくきっかけとなりました」(吉田氏)

 その期待通りに2歳の9月にデビューしたグレープブランデーは、順調にレースを使われながら、3歳の夏にはジャパンダートダービー(Jpn1)を勝利し、ついに世代最強のダート馬の称号を掴む。だが、秋に右前脚の蹄骨の骨折が判明。その時、復活させるべく尽力したのが、安田厩舎のスタッフだった。

 「蹄骨骨折という重傷から立ち直って、再びG1を勝ってくれたこの馬の精神力には頭が下がりますが、何よりも献身的なケアで支えてくださった厩舎スタッフの皆様に感謝するだけです。そして辛い時期も辛抱して待っていてくださった出資会員の皆様、また応援してくださったすべての方々にも感謝申し上げたいです」(吉田氏)

 古馬にオープン馬をずらりと揃える社台ファームだけに、宝塚記念(G1)を勝利するのも時間の問題だろう。そうなると残るはジャパンカップダート(G1)だが、きっと数々の苦難を乗り越え、そして競走馬としても完成に向かっているグレープブランデーが、そのピースを埋めてくれるに違いない。