重賞ウィナーレポート

2013年02月03日 東京新聞杯 G3

2013年02月03日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:クラレント

プロフィール

生年月日
2009年03月02日 04歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:12戦4勝
総収得賞金
408,860,000円
ダンスインザダーク
母 (母父)
エリモピクシー  by  ダンシングブレーヴ(USA)
馬主
前田 晋二
生産者
ノースヒルズマネジメント (新冠)
調教師
橋口 弘次郎
騎手
岩田 康誠
  • 牧場は新冠町美宇(びう)地区にある
    牧場は新冠町美宇(びう)地区にある
  • 雪上を元気に走る1歳馬
    雪上を元気に走る1歳馬
  • 出産を控える繁殖牝馬たち
    出産を控える繁殖牝馬たち
  • 小倉大賞典(G3)に出走するダコールの半姉ルシュクル(ディープインパクト受胎中)
    小倉大賞典(G3)に出走するダコールの半姉ルシュクル(ディープインパクト受胎中)

 上半期にそびえるヴィクトリアマイル(G1)、安田記念(G1)へ向けて有力馬が揃った東京新聞杯(G3)。16頭のうち半数が重賞勝ち馬で、一昨年の安田記念(G1)覇者、昨年のヴィクトリアマイル(G1)2着馬らが顔を合わせた。全馬一斉に弾けた直線、ゴールラインでは10頭が1秒差以内にひしめく混戦の中、唯一1分32秒台で駆け抜けた駿足が、関西から遠征してきたクラレントだった。

 本馬の生産は新冠町のノースヒルズ。鳥取県に構える同牧場グループの調教施設・大山ヒルズと連携して生産・育成をしている。昨年は生産・育成馬ビートブラックが天皇賞(春)(G1)を制し、米国競馬の祭典・BCターフ(G1)でトレイルブレイザーが好走。ファレノプシスの半弟キズナは2012年度JPNサラブレッドランキング(2歳)で上位にランクインし、クラシック候補に数えられている。今年1月には彼らの先輩アーネストリー、トランセンドが揃ってスタッドインし、冬の寒さを吹き飛ばす明るい話題が続いている。

 同牧場マネージャーの福田洋志さんは、「強敵相手でしたが、最高の結果を出してくれましたね。実績ある東京芝1600mということで、戦前から楽しみにしていました。昨年秋は富士S(G3)を勝ちながらも、賞金不足でマイルCS(G1)出走が叶わなかったので、今回の勝利は大きいです。」と、通算3つ目の重賞タイトルをかみしめた。レースでは本馬と同世代の生産・育成馬ブライトラインも参戦しており、結果的には2頭が掲示板に載る会心の一番となった。

 牧場時代の本馬は、父ダンスインザダークに似た脚長のタイプで、品のある馬だった。現役時代の父を管理していた橋口弘次郎調教師も、幼少時からその非凡な才能を感じ、高い評価を伝えていたという。1歳時には疝痛のため開腹手術をしたこともあったが、その後は競走馬として順調な道のりを歩んだ。福田さんは、「1歳時、手術に携わった獣医師の皆さまから、今も厚く応援をいただいています。多くの方々に支えられて、立派な競走馬に成長してくれましたね。」と、しみじみと戦績を振り返る。

 ダンシングブレーヴ肌の母エリモピクシーは現役時代JRA・7勝。初仔リディル(父アグネスタキオン)はデイリー杯2歳S(Jpn2)とスワンS(G2)を制し、2番仔クラレントも現役で重賞3勝中と、繁殖牝馬として素晴らしい成績を残している。母と伯母エリモシックは現役時代、古馬となって着実にパフォーマンスを高めただけに、2歳、3歳と重賞を制してきた本馬であるが、これからが真価を見せつけるステージとなるのではないか。

 「今後も順調に競走生活を送って欲しいです。安田記念(G1)の時期には出産・種付けも落ち着きますので、牧場からも競馬場へ応援に行きたいですね。海外はもちろん、日本のG1を勝つことも本当に大変なことですが、好勝負して欲しいです。」と、希望を膨らませる福田さん。日本ダービー(G1)以来、遠ざかっていた最高峰の舞台。今回、再びそのイスをたぐり寄せただけではなく、勝ち負けさえも意識できる走りを見せた。少し先走ってしまえば、この春、ドバイ遠征するトレイルブレイザー、ファリダットのあとを追うように、いずれは海の向こうで戦うシーンもあるのではと、想像は膨らんでいく。