重賞ウィナーレポート

2013年01月20日 東海S G2

2013年01月20日 中京競馬場 晴 良 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:グレープブランデー

プロフィール

生年月日
2008年04月11日 05歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:15戦6勝
総収得賞金
372,456,000円
マンハッタンカフェ
母 (母父)
ワインアンドローズ  by  ジヤツジアンジエルーチ(USA)
馬主
(有) 社台レースホース
生産者
社台ファーム (千歳)
調教師
安田 隆行
騎手
C.ルメール

 東海S(G2)が行われた週の火曜日から木曜日。社台ファームにはグレープブランデーの鞍上を務めたクリストフ・ルメール騎手の姿があった。

 父と一緒に社台ファームに訪れたルメール騎手は、滞在中に出産を迎えた産駒の体をタオルで拭くなど、リラックスした様子でこの3日間を過ごしたという。

 「実は東海S(G2)の前のレース(蒲郡特別)の勝ち馬であるシャドウエミネンスも、ルメール騎手が手綱を取ってくれた馬でした。この2頭は休養期間があった馬でしたが、ルメール騎手も北海道での休養放牧効果があったのではないかと思えるような、素晴らしい騎乗でした」とは社台ファームの吉田哲哉氏。14日の開催の中止による代替競馬で行われた21日も含めての3日間で、なんと生産馬が12勝をあげた社台ファーム。条件戦から重賞まで様々なカテゴリーに優れた馬を送り出しているという、総合力のたまものだろう。

 ルメール騎手と共に、休養を挟んで中央重賞初制覇を遂げたグレープブランデーであるが、その道のりは決して平坦では無かった。

 「ジャパンダートダービー(Jpn1)に勝利した後、調整中に蹄骨骨折が判明し、治療期間を含めて、約半年あまりの休養を余儀なくされてしまいました」(吉田氏)

 3歳ダート最強馬として名乗りをあげた矢先での怪我。明くる年のブリリアントSで復帰するも、続くジュライS共に精彩を欠くレースが続いていく。

 「G1勝ち馬としては物足りない成績が続いてしまい、もう以前のような強さは取り戻せないのではと、気持ちが萎えかかった時期もありました。しかし管理をしてくださっている安田調教師をはじめ、陣営の皆さんの献身的なケアと的確な出走番組の吟味のおかげで、阿蘇Sで久々の勝利を挙げることができました」(吉田氏)

 その後、重賞戦線に矛先を向けたグレープブランデーではあったが、シリウスS(G3)を3着、みやこS(G3)を6着、そしてジャパンカップダート(G1)も5着と、G1勝ち馬の復活を願うファンからすれば消化不良のレースが続いていく。それでも管理をする安田調教師は、レース後、吉田氏を含めた関係者にこんな言葉を告げてきたという。

 「先生は『現時点でこのメンバーにこの内容なら、来年は強いグレープブランデーをお見せできます』と力強く話してくださいました。レース後はグリーンウッドトレーニングでの短期調整を挟んだのですが、調子を落とすことなく、万全の状態で今回のレースに挑むことができました」(吉田氏)

 状態の良さもあったのだろうが、結果は3馬身差の圧勝。他馬とは違っていた脚色からも、改めてグレープブランデーが熟成の期間を経て、円熟味のある競走馬へと進化したことが証明されたレースとなった。

 「ここまで力添えをしてくださった安田先生やスタッフの皆さん、グリーンウッドトレーニングや山元トレーニングセンターのスタッフ、そして社台ファームのスタッフが一丸になったからこそ、重賞を勝利し、晴れて復活と言えるところまで来られたのだと思います。ファンの皆さんからも沢山のご声援をいただいたこと、本当にありがとうございます」

 勿論、ルメール騎手の好騎乗も大きかったのですが、と吉田氏は続ける。レース後、管理をする安田調教師からは、フェブラリーS(G1)への出走表明と、マイル特性も高いとのコメントも聞かれていた。もう長期の休養は、今のグレープブランデーに必要無さそうだ。