2012年12月31日 東京2歳優駿牝馬(GDJ)
優勝馬:カイカヨソウ
プロフィール
- 生年月日
- 2010年04月01日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦4勝
- 総収得賞金
- 103,900,000円
- 母 (母父)
- マチカネヤマザクラ by エリシオ(FR)
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 川島 正行
- 騎手
- 戸崎 圭太
『GRANDAME-JAPAN(グランダム・ジャパン)2012』の大トリを飾ったのは、大晦日に行われた『東京2歳優駿牝馬(大井)』。2歳女王の座を目指して、カツゲキドラマ(園田プリンセスC、プリンセス特別)、ハニーパイ(エーデルワイス賞(Jpn3))、デイジーギャル(ローレル賞)ら、グランダム・ジャパン2歳シーズン指定競走優勝馬たちが顔を揃える中、1.6倍の圧倒的な人気に支持されたのは、北海道・廣森久雄厩舎から船橋・川島正行厩舎へ移籍したばかりのカイカヨソウ。戸崎圭太騎手の手綱に導かれて先行集団を見るような位置でレースを進め、直線で外から力強く抜け出すと、猛追してくるケンブリッジナイスを半馬身押さえて先頭でゴールイン。強い道営デビュー馬の実力を、南関東のファンの前でも堂々と披露した。
カイカヨソウの生まれ故郷は、北海道安平町のノーザンファーム。言わずと知れた日本競馬界を牽引し続ける牧場で、ディープインパクトやジェンティルドンナ、ブエナビスタなど、数々の名馬がこの牧場で産声をあげている。
クラブ法人のキャロットクラブで一口募集されたカイカヨソウは、ホッカイドウ競馬の認定厩舎であるノーザンファーム空港牧場で調整され、2歳7月に門別競馬場でデビュー。重賞の『ブリーダーズゴールドジュニアC』『フローラルC』にも優勝してデビューから3連勝を収め、ダートグレードの『北海道2歳優駿(Jpn3)』でも中央馬や牡馬に混じり地方馬最先着となる3着に健闘。2012年度ホッカイドウ競馬2歳世代の代表格として、鳴り物入りで南関東へ移籍した。
「11月末に牧場を出発して、船橋の川島正行厩舎へ入厩しました。ただ長距離の輸送と、歯替わりの時期が重なったことで、向こうでは飼い食いが落ちて馬体重も減ったらしく、一時はこのレースの出走も危うかったと聞いていました」と話すのは、認定厩舎の厩務員として門別競馬場のパドックをカイカヨソウと共に歩を進めたこともある島田崇さん。この『東京2歳優駿牝馬』の日には、カイカヨソウに声援を送るため、冬休みを取って大井競馬場へ足を運んでいたそうだ。
「移籍後も、キャロットクラブの人たちを通して様々な情報を聞いていました。でも自分が案ずるよりも、川島厩舎の皆さまがカイカヨソウを良い状態でレースに出走させてくれると信じていたので、出走が決まった時には嬉しかったです」と振り返る。減っていると伝えられていた馬体重も、前走の北海道2歳優駿時よりプラス8㎏となる456㎏。パドックでの歩様も、島田さんが牧場で見ていた1ヶ月前よりは力強く映っていた。
「まるで自分の子供を見るような気持ちでしたね。こんな大きな舞台に、立派になって出走してくれたんだなと感慨深くなりました。戦前の評価では1番人気になるだろうと思っていましたが、実際にその評価を与えられてみると、非常に光栄なことだなとも感じていました」と島田さん。
「直線で先頭に立った時には、勝ったなと思いました。ゴール前で2着馬が迫ってきた時には一瞬ヒヤッとしましたが、そこから再度頑張ってくれて、改めて地力の高さを証明してくれたと思います」と、愛馬の成長に誇らしげな表情を浮かべる。レース後の口取り式には、島田さんも参加できた。これまでの勝利とは、また違った感慨を覚えたそうだ。
「いい年の締めくくりをさせてもらいました。今年は南関東の牝馬クラシック戦線を沸かせるような馬になってくれると思いますし、北海道2歳優駿(Jpn3)で先着を許した中央所属馬にも、その時の借りを返して欲しいと思います」と、今後の愛馬に大きな期待を寄せる。
今、島田さんの厩舎には今年のホッカイドウ競馬でデビューを目指す2歳馬の姿がある。「カイカヨソウは、牧場のみんなと共に創りあげた結晶だと思っています。またカイカヨソウに続く馬を、みんなと力を合わせて送り出していきたいですね」と次なる夢にも目を輝かせる。北海道に桜の開花予想が出る頃、島田さんたちの新たな夢が門別競馬場でベールを脱ぐかもしれない。