重賞ウィナーレポート

2012年12月09日 阪神ジュベナイルフィリーズ G1

2012年12月09日 阪神競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ローブティサージュ

プロフィール

生年月日
2010年01月28日 02歳
性別/毛色
牝/青毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
172,316,000円
ウォーエンブレム(USA)
母 (母父)
プチノワール  by  Singspiel(IRE)
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
須貝 尚介
騎手
秋山 真一郎

 ローブティサージュの勝利で生産馬が6年連続の勝利。まさにノーザンファームの独壇場となった感もある阪神JF(G1)だが、これもひとえに、優れた馬を生産し、そして優れたスタッフが厩舎まで送り届けていることに他ならない。しかもデビューしてからの期間が短い2歳重賞となると、それだけ牧場と厩舎の密接な関係が必要とされる。

 「馬体管理など難しい面もあった馬でしたが、ここまで来られたのは、ノーザンファームしがらきのスタッフ、そして管理をしてくださっている須貝調教師やスタッフの皆さんのおかげ。みんなでローブティサージュを良くしようとの思いが、最良の結果として現れたのだと思います」とは、ノーザンファーム空港牧場で育成を手がけてきた窪田淳調教主任。その窪田さんの元に、ローブティサージュがやってきたのは1歳の11月となる。

 「先にノーザンファーム天栄で馴致をしてから、こちらにやってきました。ウォーエンブレム産駒ということで、気性の強さが目立っていましたが、それが走らせてみると前向きな気持ちとして現れ、仕上がりの良さからしても早めの入厩を目指せるのではないかと思えるようになりました」(窪田さん)

 ただ、窪田さんには一つ気がかりな面があった。それは精神面ではなく、肉体的な幼さ。期待通りに函館でのメイクデビューを勝利して、再び窪田さんの元で調整されることとなったローブティサージュであるが、数週間で変わるといわれる2歳馬、そしてレースを経験してきたことによる心身揃っての成長は、さほど感じられなかったのだ。

 「メイクデビューのレースぶりからも、能力の高さは疑いようがありませんでした。まだじっくりと進めて成長を促すという考えもあったのでしょうが、気持ちが走りに表れる馬ですし、それならばその前向きさを損ねることなく、調教のペースに適応させていこうと思いました」(窪田さん)

 初めての重賞挑戦となるファンタジーS(G3)で2着に入り、改めて絶対能力の高さを証明すると、阪神JF(G1)では最内枠から上手く流れに乗って、最後の直線では前を行くクロフネサプライズの逃げ切りをクビ差交わしてみせる。

 「ジョッキーが我慢して、ロスのない競馬をしてくれたことが、ゴール前の一伸びとして表れた気がします。まだまだ成長段階にある中でこれだけの結果を残してくれたことは、更に来年に向けての楽しみも広がります」(窪田さん)

 これまでにも桜花賞馬のキストゥヘヴン、そして三冠牝馬のアパパネなど、蒼々たる育成馬を育ててきた窪田さん。ローブティサージュも優秀な成績を残した先輩に続くような活躍も期待できそうですね、と話を向けると、

 「僕らとしてはただ、高い素質を持った馬に巡り合わせてもらったということだけです」と笑顔を返してくれた。