2012年11月10日 ファンタジーS G3
優勝馬:サウンドリアーナ
プロフィール
- 生年月日
- 2010年03月26日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:4戦2勝
- 総収得賞金
- 75,649,000円
- 母 (母父)
- オテンバコマチ by ダンシングブレーヴ(USA)
- 馬主
- 増田 雄一
- 生産者
- 水上 習孝 (三石)
- 調教師
- 佐藤 正雄
- 騎手
- M.デムーロ
2歳牝馬によるファンタジーS(G3)は、新ひだか町の水上習孝氏生産でJRA育成馬のサウンドリアーナ(父ケイムホーム)が2番手から抜け出して優勝。3回目の重賞挑戦で初勝利を記録した。昨年から産駒をデビューさせているケイムホームにとっても、初のJRA重賞制覇となった。
サウンドリアーナを生産した水上習孝さんは、自宅のテレビで妻の貞子さんと一緒に愛馬に声援を送っていた。この日は、40年間以上も夫婦2人だけで苦楽をともにしてきた貞子さんの誕生日。「もし、馬が勝ってくれたら、最高のバースディプレゼントになるな」という思いが1分20秒8で現実のものとなった。
「もちろん、勝って欲しいと願っていましたが、競馬、とくに重賞競走を勝つということは簡単なことではありません。これまでも勝てるチャンスはあったと思うのですが、手が届きませんでした。サウンドリアーナの年は生産頭数は5頭だけです。自分のような牧場にはJRAの重賞は縁がないものとあきらめかけていたところでしたので、本当に嬉しかったです」と71歳になった水上さんが、初めての重賞制覇に少し照れたような顔で笑った。
母のオテンバコマチも水上さんの生産馬だ。半兄には3つの特別を含む5勝を記録したサンデーフラッシュ(父サンデーサイレンス)がいる血統。その名前の通りにとても元気の良い馬で、牝馬ながらに、放牧地ではほかの馬を追い掛け回すような、そんな馬だったという。父譲りの豪快な末脚を武器に、JRAで2勝を記録して牧場に帰ってきたオテンバコマチには相性の良さを期待してサンデーサイレンス系種牡馬を配合したが、思うような産駒が生まれてこない。「ほかの血統を試そうか」と思い、白羽の矢を立てたのがミスタープロスペクター系ゴーンウェスト産駒のケイムホームだった。生まれた子は「キツいところはあったけど、気が強いというくらいで競走馬向きの気性だと思いました。それよりもバランスのよい馬で、出来には満足していました」という。
そうした生産者の期待どおりに順調に成長を重ねた「オテンバコマチの10」はセレクションセールの実馬検査に合格。同セールでJRAによって購買され、日高育成牧場で競走馬としての第一歩を踏み出した。当時の固体情報冊子には「走りに対して前向きで、ハミをとってダイナミックな動きを見せる。ワンランク上の雰囲気を持っている」と高い評価が記されている。
「重賞競走に勝つというのが、こんなに嬉しいものだとは思わなかったです。また、明日からの意欲が沸いてきました。これからは相手も強くなりますが、頑張って欲しい」と活躍を期待している。