2012年11月11日 エリザベス女王杯 G1
優勝馬:レインボーダリア
プロフィール
- 生年月日
- 2007年04月27日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:28戦6勝
- 総収得賞金
- 232,073,000円
- 母 (母父)
- アローム by ノーザンテースト(CAN)
- 馬主
- 田中 由子
- 生産者
- 大栄牧場 (新冠)
- 調教師
- 二ノ宮 敬宇
- 騎手
- 柴田 善臣
エリザベス女王即位60年記念として行われた第37回 エリザベス女王杯(G1)。降りしきる雨の中、中団で息をひそめていた7番人気のレインボーダリアが直線抜け出し、1番人気のヴィルシーナとの叩き合いをクビ差制してゴールを駆け抜けた。
重賞初制覇をG1で飾る。雨を切り裂いて輝いた一筋の虹は、新冠町の大栄牧場で生まれた。
社長の浜口寛さんと息子の康宏さんを中心に、従業員4人と21頭の繁殖牝馬を擁する中規模牧場で、今年の菊花賞(GI)2着馬スカイディグニティの生産牧場でもある。過去には3月に中日新聞杯(G3)を制したスマートギア、2010年の新潟大賞典(G3)の勝ち馬ゴールデンダリア、2002年のクイーンS(G3)の勝ち馬ミツワトップレディ、99年の新潟記念(G3)など重賞2勝したブリリアントロードとコンスタントに活躍馬を送り出しているが、G1制覇は牧場にとって初めてのこと。
レース当日、現地で応援していた寛さんは恵みの雨を実感していた。「時計がかかるような馬場が得意な馬で、スピード勝負になると厳しい。雨が強くなればなるほどもしかしたら…という期待が高まりましたし、パドックでは身が入って素晴らしい仕上がりに見えました。でも、1番人気の馬を見ていたら次元が違うような気がして、この馬に勝つのは無理かなと思ったり、複雑な感じでしたね」と揺れ動く心情を振り返った。
結果は“次元の違う馬”を猛烈な叩き合いの末ハナ差競り落とし優勝。「まさか勝つとは思わず、夢を見ているような状態でした。これまで相手なりに走り、コツコツ成長して来た馬。派手さはないが、とうとうG1まで登り詰めてくれた。よく頑張ってくれました」と満面の笑みを浮かべた。
レインボーダリアは母アロームの12番目の子供として誕生。当時母は17歳で、高齢の域に差しかかっていた。「ノーザンテーストの肌にブライアンズタイムは、うちでもブリリアントロードやスカイディグニティが走っているように活躍馬を多く輩出している配合。父母共に高齢でしたが、どうしてもこの配合で後継繁殖が欲しいと種付けしました」。そして、寛さんの願い通り牝馬が誕生する。華奢で小さく、見映えするタイプではなかった子馬は、自然の起伏を生かした広い放牧地を駆け回り、育成場へ移るころには胴が伸びて立派な馬体になっていたという。
「大きな怪我も病気もなく、子供の頃の印象はそんなにないけど、とにかくタフでしたね。それは今も変わっていないと思います。今回の勝利は、牧場にとって今までやって来たことは間違っていなかった、という自信に繋がる貴重なものでしたし、次に控えている生産馬たちの道しるべになってくれると思います」と寛さん。今年はスマートギア、スカイディグニティの活躍に加え、新潟ジャンプS (JG3)を制したシゲルジュウヤク、2歳馬にはデイリー杯2歳S(G2)2着のクラウンレガーロなど有望株が続々台頭して来ている。今後も大栄牧場の生産馬たちが注目を集めそうだ。