重賞ウィナーレポート

2012年10月20日 富士S G3

2012年10月20日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:クラレント

プロフィール

生年月日
2009年03月02日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:9戦3勝
総収得賞金
408,860,000円
ダンスインザダーク
母 (母父)
エリモピクシー  by  ダンシングブレーヴ(USA)
馬主
前田 晋二
生産者
ノースヒルズマネジメント (新冠)
調教師
橋口 弘次郎
騎手
岩田 康誠
  • 父マンハッタンカフェ、母キュンティアの当歳牡馬
    父マンハッタンカフェ、母キュンティアの当歳牡馬
  • 栗東・橋口厩舎へ入厩予定
    栗東・橋口厩舎へ入厩予定
  • ゴールドアリュールを受胎中
    ゴールドアリュールを受胎中
  • 健康状態は良好
    健康状態は良好

 マイルCS(G1)へ向けての前哨戦、富士S(G3)は3歳馬クラレントが好位から抜け出し、重賞2勝目を飾った。正攻法の競馬で実績馬を完封し、過去5年の同レースで最も早い勝ち時計で駆け抜けた。

 本馬の生産は新冠町にあるノースヒルズ。今年はビートブラックによる天皇賞(春)(G1)制覇をはじめ、トレイルブレイザー、ヒットザターゲット、ブライトラインといった生産馬が重賞勝ちを決めている。2歳世代も続々と勝ち上がり、アップトゥデイト、キズナ、育成馬シュトラールら評判馬の動向に注目が集まっている。

 レースを振り返ってくれたのは同牧場マネージャーの福田洋志さん。「優勝できて嬉しいです。岩田康誠騎手は初騎乗でしたが、能力を引き出してくれましたね。今回は前目の位置取りで競馬できましたし、馬自身の成長も感じます。強いとされている世代ですし、大一番に向けて弾みがつく勝利ですね。」と、喜びを語る。レース当日は牧場でスタッフと一緒に声援を送っていた。

 半兄に2009年のデイリー杯2歳S(Jpn2)、2011年のスワンS(G2)を制したリディルがいる本馬。ちょうど3年前、リディルの重賞取材時にこのホームページに登場している。当時の写真を改めて見ると、凛とした品のある顔立ちを思い出す。「クラレントは父ダンスインザダークに似て、スラッとした脚の長い馬でした。リディルよりひと回り大きかったです。」と、福田さんは当時を振り返る。

 父と同じ栗東・橋口弘次郎厩舎へ入厩が決まった本馬は、2歳時にデイリー杯2歳S(G2)を兄弟V。3歳春に挑んだNHKマイルC(G1)ではカレンブラックヒルに迫り、3着まで末脚を伸ばした。母は1997年エリザベス女王杯(G1)を制したエリモシックの全妹で、現役時代7勝をマークしたエリモピクシー。息長く活躍し、古馬となって強さを増した母、伯母の血からは、2歳よりも3歳、3歳よりも4歳での走りに興味がわく。父母の持ち味が絶妙に反映されている馬だ。

 無事に夏を越し、進化した走りで古馬をなぎ倒した本馬。同郷のG1馬アーネストリー、トランセンド、ビートブラックらに続く栄冠奪取へ視界は開けている。福田さんは、「同世代で重賞馬のブライトラインともども、これからが楽しみです。次走以降も彼らしいレースを見せて欲しいと思います。」と、願いを込めている。

 晩秋を迎えた同牧場では繁殖牝馬や離乳した仔馬たちが元気いっぱい。本馬の生まれた地では、若くしてオーラを放つラヴェリータがいた。ダート重賞7勝の輝かしいキャリアの同馬のお腹には初仔を宿している。

 「残暑も問題なく、健康状態は引き続き良好です。彼女のベストパフォーマンスを高めるべく、初年度の交配相手にはゴールドアリュールを選びました。」と、福田さんは紹介する。迫力ある馬体は健在で、放牧地の緑と紅葉に白い毛が映える。

 本馬ゆかりの橋口厩舎入厩予定馬ということで、紹介いただいたのが立派な青鹿毛の牡馬。僅か一戦のキャリアながら1997年、阪神3歳牝馬S(G1)で2着に入った才女、キュンティアが生んだ当歳だ。父はマンハッタンカフェで、半姉に2007年のファンタジーS(Jpn3)優勝馬オディールがいる。撮影では引き手の方の指示通り動き、活躍した先輩馬の幼少期とも重なる雰囲気。小春日和の牧場で、大仕事をしてくれそうな予感を静かに漂わせていた。この馬も本馬と同じく、改めてこのコーナーに登場するかもしれない。