重賞ウィナーレポート

2012年10月08日 マイルChS南部杯(中央交流) Jpn1

2012年10月08日 盛岡競馬場 晴 良 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エスポワールシチー

プロフィール

生年月日
2005年04月22日 07歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:32戦15勝
総収得賞金
1,023,197,000円
ゴールドアリュール
母 (母父)
エミネントシチー  by  ブライアンズタイム(USA)
馬主
(株) 友駿ホースクラブ
生産者
幾千世牧場 (門別)
調教師
安達 昭夫
騎手
佐藤 哲三
  • エスポワールシチー~ファンタストクラブ提供
    エスポワールシチー~ファンタストクラブ提供

 秋のダート決戦開幕を飾る一戦、マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)はエスポワールシチーが貫録の逃げ切り勝ち。圧倒的支持に応える堂々たる走りで、G1馬の底力を見せつけた。

 日高町の幾千世牧場生まれの本馬は、デビュー前後の育成・休養・調整期間を日高町のファンタストクラブで過ごしている。同牧場で調教主任を務める石坂光幸さんに、優勝の感想を伺った。「無事に走ってくれて、勝つこともできて本当に喜んでいます。レース後も異常ない様子で、安堵しているところです。」(石坂さん)

 ダート界屈指の実力馬が背負ったオッズは1.1倍。負けられないレース、文字通り追われる立場ながら、その重圧をあっさりと跳ね返した。7度目となるG1勝ちは「やっぱり強い」と思わせる4馬身差の完勝劇で、オーロパークに興奮をよみがえらせた。

 本馬は今夏、ファンタストクラブでエルムS(G3)、マイルCS南部杯(Jpn1)に向けての調整で数週間を過ごした。北海道の拠点として長きに渡って利用している場所であり、今回も万全の態勢で仕上げが施された。石坂さんは、「坂路とコースを併用し、ストレッチを兼ねたウォーキングも十分に積みまして、良い状態で厩舎へ送り出すことができました。」と、過程を振り返る。

 石坂さんと本馬は育成時代からの関係で、現在もサポートにあたっている一人。これまで関わったシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、テイエムオーシャン、レディパステルといった錚々たる名馬と、共通した部分を感じているという。「エスポワールシチーは、自分が何をすれば良いかをしっかり理解していて、気持ちの切り替えが上手です。こちらの調教でも、コースに向かえばスイッチが入ったように走りに集中します。普段は素直で扱いやすいですし、人に悪さをすることもありません。こうした特徴はこれまで出会ってきたG1馬と共通する部分だと思います。」(石坂さん)

 7歳秋にして更なる栄冠を手にし、ダート戦線終盤に向けて改めてその名を轟かせた。ファンタストクラブからは今年、オースミイチバン、ホッコータルマエ、ハタノヴァンクールといった重賞馬が誕生しており、次走以降は出身馬の挑戦を受ける機会も出てくるだろう。「この調子でどの育成馬たちも頑張って欲しいですね。エスポワールシチーは、7歳となった今も強い闘争心を維持しています。今後も無事にレースを迎えられることを願っています。」と、石坂さんは望みを語る。

 ファンの期待に応えるすっきりとした勝ちっぷりに、その実績と信頼は揺るがない。タフに先頭を駆けぬけるその姿は、若い世代のダート馬たちに、大きな壁として立ちはだかるだろう。