2012年09月03日 ビューチフル・ドリーマーC(GDJ)
優勝馬:サクラサクラサクラ
プロフィール
- 生年月日
- 2006年06月14日 06歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:33戦7勝
- 総収得賞金
- 63,601,000円
- 父
- アッミラーレ
- 母 (母父)
- コーエーガルボ by ノーリユート(FR)
- 馬主
- 野島 春男
- 生産者
- 野島牧場 (門別)
- 調教師
- 田中 淳司
- 騎手
- 吉田 稔
『グランダム・ジャパン』古馬シーズンの第4戦は、水沢競馬場で行われた『ビューチフル・ドリーマーC』。1908年、岩手県の小岩井農場にイギリスから輸入され、日本競馬における一大牝系を築く祖となったビューチフルドリーマーの名を冠した競走だ。その末裔には、メイヂヒカリ、シンザン、タケホープ、ニッポーテイオーといった日本競馬史に名を残す名馬が多数誕生しているほか、桜花賞馬エルプスの孫に当たるテイエムオーシャンがG13勝を挙げて繁殖入りするなど、現代でもその牝系は伸び続けている。まさしく『グランダム・ジャパン』の意義を、現実のものとしてつないできている名牝だ。
その偉大な功績を記念して創設されたレースを今年制したのは、北海道から遠征してきたサクラサクラサクラ(牝6歳、北海道・田中淳司厩舎)。同じく北海道から遠征したショウリダバンザイに次ぐ2番人気に支持され、前走の門別『ノースクイーンC』で惜しくもハナ差2着に敗れた雪辱を果たした。
「前走は悔しいハナ差負けでしたが、今回は直線に向いた時に勝てると思いました。吉田稔騎手もすっかり手の内に入れているようで、自信が伝わる騎乗ぶりでしたね」と喜びのコメントを寄せてくれたのは、サクラサクラサクラの生まれ故郷である野島牧場の野島春男社長。同牧場からは、1989年の桜花賞馬シャダイカグラをはじめ、カリブソング、マイネルスターリーなど、数々の重賞馬が巣立っている。
サクラサクラサクラは、父アッミラーレ、母コーエーガルボ(母の父ノーリユート)という血統。2歳暮れに中央デビューし、4歳時までにダート短距離で2勝を挙げて、1度は障害レースにも挑戦した経歴がある。5歳春にホッカイドウ競馬へと移籍してからは重賞競走で揉まれながら力をつけ、冬期間には南関東でも経験を積んで、今春ホッカイドウ競馬へと戻ってきた。そして今回の岩手遠征で、6歳にして嬉しい初重賞の勲章を掴み獲ったのだ。
「牝馬にしては馬格があり、スターロッチ系特有の気の強さがありました。この気性がレースで良い方に出れば、大成できると予感していました」と、サクラサクラサクラが牧場で過ごした時期を振り返る野島社長。同馬を産んだ母のコーエーガルボは、3代母に名牝スターロッチを持ち、1歳上の半兄にはダービー馬ウイニングチケットがいる良血馬。野島牧場では、以前からスターロッチ系統の牝馬を多く導入してきており、その肌馬からオースミロッチ、ワコーチカコ、ロッチラヴウインク、ダンツジャッジといった活躍馬を誕生させてきた。コーエーガルボもその血統に魅力を感じ、当歳時に藤原牧場から購入した馬だった。
一方の父アッミラーレを交配した経緯についても、付き合いの深い牧場との関わりが影響していたそうだ。「アッミラーレは、お世話になっている酒井牧場さんの生産馬なので注目していました。現役時代の故障が悔やまれますが、優れたスピードを覗かせていましたし、種牡馬としての可能性は大きいと期待していたんです」と野島社長は話す。サクラサクラサクラ以外にも、同牧場生産のパフォーマンスが昨年の北斗盃、道営スプリントを制する大活躍を見せており、種牡馬アッミラーレの評価はうなぎ上り。今年は、過去最多となる54頭に種付けを行ったそうだ。
サクラサクラサクラは現在、『グランダム・ジャパン』古馬シーズンの総合優勝も狙える位置につけている。「以前は馬が若くて能力を発揮できませんでしたが、大人になってきましたね。門別に来てからも田中淳司厩舎の皆さんが献身的にケアしてくれ、見る見る馬が変わってきました。次も骨っぽいメンバーになりそうですが、好勝負して欲しいです」と期待する野島社長。同馬は、『グランダム・ジャパン』古馬シーズン最終戦の『レディスプレリュード(重賞・大井1800m)』へ登録がある。昨秋からの約半年間、大井の高橋三郎厩舎で過ごした経験が、この大舞台で活きるかもしれない。