2012年08月26日 新潟2歳S G3
優勝馬:ザラストロ
プロフィール
- 生年月日
- 2010年02月14日 02歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:3戦2勝
- 総収得賞金
- 48,714,000円
- 母 (母父)
- セクシーココナッツ by ダンスインザダーク
- 馬主
- 高橋 一恵
- 生産者
- 松田牧場 (静内)
- 調教師
- 武藤 善則
- 騎手
- 松岡 正海
新潟競馬場で行われた2歳重賞、新潟2歳S(G3)はザラストロがレコード勝ち。後方3番手からの強烈な追い込みで、派手に初重賞制覇を飾った。
本馬の生産は新ひだか町静内の松田牧場。1981年のオークス馬テンモンの故郷として知られ、他にも1990年の小倉大賞典(G3)の勝ち馬ミスターヤマノ、東海の名馬ゴールドレット、重賞で好走したケイアイアストン、マイネルシアターらが巣立っている。繁殖牝馬は自己馬・預託馬含めて15頭。ご家族とスタッフ2名が働いている。
同牧場社長の松田三千雄さんにレースの感想を伺うと、「自宅のテレビで家族揃って応援していました。最後は僅差の勝負になりましたが、よく届いてくれました。重賞は出るだけでも大変なことですし、牧場としては久しぶりの重賞勝ちで、本当に感動しました。この馬に携わった調教師、厩舎スタッフ、馬主、育成牧場の皆さんに感謝です。」と、しみじみと喜びを伝える。レース当日は牧場スタッフの方が現地・新潟競馬場で応援しており、歓喜の口取りに入ることができたという。
牧場時代の本馬については、「ホワイトマズルとの交配は息子(松田大地さん)が決めました。ケガや病気もなく、健康に育ちましたね。良い意味で普通の馬だったと記憶しています。」と、振り返る。1歳夏、愛知ステーブルの育成馬としてHBAサマーセールに上場されたが、お台500万円の声がかからず、残念ながら主取りとなった。そこに現れたのが本馬に注目していた武藤善則調教師で、高橋一恵オーナーとの縁が結ばれた。
母セクシーココナッツは現役時代JRAで1勝。500万クラスを勝ち上がれなかったものの、特別戦で入着歴があり、3歳秋には秋華賞トライアル・ローズS(G2)にも駒を進めた。半弟ココナッツパンチは目黒記念(Jpn2)2着、弥生賞(Jpn2)2着の実力馬で、同じく半弟アッパーイーストも昨年の弥生賞(G2)で勝ち馬から0.1秒差の5着に好走している。
繁殖牝馬としてはこれまで6頭の産駒を生み、3番仔プレノタートが2歳時に2勝し、暮れの阪神JF(G1)に挑戦。翌年もフィリーズレビュー(G2)で3着まで追い込み、桜の舞台で2度目のG1出走を果たした。「母馬は配合種牡馬の長所を引き出すタイプですね。これだけの活躍馬を出してくれて、牧場の宝馬です。」(松田さん)
牧場には現在、本馬の半弟となる当歳馬(牡、父クロフネ)が元気に過ごしている。「クロフネ産駒らしくがっちりした体型をしていて、良い馬ですよ。」と、松田さんは紹介する。母セクシーココナッツは今年、ジャングルポケットを受胎している。
日本一長い直線で披露した極上のキレ味は、どんな強敵をも捉える武器として研ぎ澄まされていくに違いない。次走は東京スポーツ杯2歳S(G3)が予定されている。
「広いコースが合っているようですね。これからも無事に走ってきて欲しいです。無事が一番ですね。」と、松田さん。優れた才能はどこまで伸びていくのか-その答えは確かな競走生活から導き出されるもの。「無事」という言葉には、松田さんの思いやりと大きな期待が宿っている。