2012年07月11日 ジャパンDダービー(中央交流) Jpn1
優勝馬:ハタノヴァンクール
プロフィール
- 生年月日
- 2009年05月16日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:7戦5勝
- 総収得賞金
- 237,946,000円
- 父
- キングカメハメハ
- 母 (母父)
- ハタノプリエ by ブライアンズタイム(USA)
- 馬主
- (有) グッドラック・ファーム
- 生産者
- 有限会社グッドラック・ファーム (門別)
- 調教師
- 昆 貢
- 騎手
- 四位 洋文
3歳砂の王者決定戦、ジャパンダートダービー(Jpn1)は、1番人気に推されたハタノヴァンクールが先に抜け出したトリップを並ぶ間もなく抜き去り、1馬身突き放したところでゴール。ダート戦4戦4勝で臨んだ大一番、自分のペースを守り抜き重賞初勝利を掴みとった。
本馬を生産したグッドラック・ファームは「ハタノ」の冠名で競走馬を所有する畑末廣郎氏のオーナーブリーディング牧場。開場から約10年、待ちに待った朗報だった。
10頭の繁殖牝馬を2名のスタッフで飼養している牧場故、競馬場へ赴くことは難しいと話す羽田和男場長。レースはテレビ観戦だった。
「初めてのナイター競馬、後ろから行く馬だけに直線の短い競馬場、不安要素はたくさんありましたが、終わってみれば問題なかったようですね。2000mの距離も幸いしましたし、いつものレース運びで足元をすくわれることなく、本当に強い馬に成長してくれました」と、この道40年のベテラン場長は喜びを噛み締めた。
母ハタノプリエの血統を見れば、ブライアンズタイム、サンデーサイレンス、ノーザンテーストと代々リーディングサイアーが名を連ね、半弟には天皇賞馬ジャガーメイルがいるなど筋の通った血統であることが見て取れる。当然、牧場期待の繁殖牝馬だ。
「毎年トップクラスの種馬を選んで配合していますが、これだけずらりとリーディングサイアーが並んでしまうと配合できる馬が限られるのが現実で…頭を悩ませていますよ。半姉のハタノギャラン(父アフリート)が走ったのでダート適正のある種馬を選ぶ傾向にありましたが、芝馬を意識して配合したのがキングカメハメハだったんです」。こうして誕生したハタノヴァンクールは、今までの産駒と違ったタイプだった。
「それまでの母の子供はガッチリした体型が多かったのに、この馬は華奢で、当時3頭いた牡馬の中でも一番小柄でした。父が変わっただけでこんなに変わるものか?と驚いた記憶があります」。小さかった子馬は離乳を経て急成長、育成牧場へ移るころには他の馬たちと遜色ないほどにまで成長した。
デビュー前、育成場で調教を見学した羽田場長はその動きの良さから芝での活躍を確信。「育成牧場でも評価が高く、思惑通り芝馬が出たと思いました。走ってみなきゃわからないものですね。あの馬には驚かされっぱなしですよ」と目を細めた。
幾度もの変貌を遂げ、3歳ダート王に輝いたハタノヴァンクール。進む先には歴戦の古馬たちが待ち受けている。次はどんなかたちであっと驚かせてくれるのか楽しみにしたい。