3年振りに中京競馬場で開催された第48回CBC賞(G3)。サマースプリントシリーズ2戦目でもある同レースは、今年も夏のスプリント王を目指す猛者たちが熱戦を繰り広げた。

　降りしきる雨の中レースを制したのは、スタート良く飛び出し、好位で脚をためていた2番人気のマジンプロスパー。直線に入ると逃げるエーシンダックマンを捉え独走態勢に。猛追してくる後続馬を凌ぎきり、そのまま新コースのレコードタイムとなる1分8秒7で快勝。57.5キロの斤量も重馬場も苦にせず2つ目の重賞タイトルを奪取した。

　マジンプロスパーを生産したのは新冠町のハシモトファーム。橋本浩代表は生産馬の勇姿を競馬場で見届けていた。

　「いつも先に行く馬ですし、道中は落ち着いて成り行きを見守っていましたが、4コーナーを回って早めに先頭に立ったときには思わず声が出ました。オーナーがいつも汗だくになるくらい一生懸命応援してくれる方で、自分くらいは冷静でいなくちゃと思うんですが、今回は(後ろから)来ないでください！と必死に祈りましたよ」と照れ笑い。さらに「いつの間にあんな長く良い脚を使えるようになったんだろうとビックリしました」と続け、生産馬の成長ぶりに驚きを隠せない様子だった。

　殊勲の母、ハリウッドドリームは既に離乳を終え、キングカメハメハとの間に宿った子供をお腹の中で育てていた。1歳(牡、父クロフネ)、当歳(牡、父シンボリクリスエス)はセレクトセールに上場され、1歳は2,100万円(税込)、当歳は1,365万円(税込)でそれぞれ落札されている。「ハリウッドドリームの仔は毎年バラバラなので種牡馬に似る傾向が強いかも知れませんね。1歳の父クロフネがマジンプロスパーに一番似てるかな」と教えてくれた。

　マジンプロスパーが誕生した2007年は3勝を挙げたエースインザホール、オープン馬のシルクアーネストと牧場にとって“豊作”の年だった。そんな中、一番最初に買い手が付いたのがマジンプロスパーだった。「足腰がしっかりした馬で、すぐ決まってホッとしたんですが、未勝利戦を勝ち上がれずに地方へ移籍した時は申し訳ない気持ちになりました。地方で2勝して中央復帰してからは急成長を遂げて…中尾調教師、佐々木オーナーが諦めずに馬の能力を引き出すことに尽力してくれたからこそ今があるんです」と橋本さんは感謝の言葉を口にした。

　ここを勝利したことによってサマースプリントシリーズの優勝候補に躍り出たマジンプロスパー。今後はスプリント王を目指し、オーナーに大きなプレゼントを届けたいところだ。