重賞ウィナーレポート

2012年05月02日 かしわ記念(中央交流) Jpn1

2012年05月02日 船橋競馬場 雨 重 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エスポワールシチー

プロフィール

生年月日
2005年04月22日 07歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:29戦14勝
総収得賞金
1,023,197,000円
ゴールドアリュール
母 (母父)
エミネントシチー  by  ブライアンズタイム(USA)
馬主
(株) 友駿ホースクラブ
生産者
幾千世牧場 (門別)
調教師
安達 昭夫
騎手
佐藤 哲三

 第24回かしわ記念は(Jpn1)、2年ぶり3勝目を狙う負けられないエスポワールシチーと、連覇を目指すフリオーソ。スタートからゴールまで2頭のプライドがぶつかり合う激闘となった。

 「エスポワールシチーが出走するときは、出来る限り競馬場に応援に行くようにしています。馬に敬意を表する意味もありますし、会員の方たちと触れ合うのも楽しいですよ」というのはエスポワールシチーの生産者、幾千世牧場の鹿戸照美さん。今回はゴールデンウィークの真っ只中というスケジュールでチケットを取るのにずいぶんと苦労したそうだが、船橋競馬場へと駆けつけた。そんな生産者は「G1レースの舞台で、久しぶりにこの馬らしいところを見せてくれたので嬉しいです」と人懐っこい笑顔を見せながら、ほおを緩ませた。

 同期にはカジノドライヴやサクセスブロッケン、そしてスマートファルコンがいる2005年生まれ世代。未勝利戦を脱出したのは3歳7月と遅かったが、同年秋には4連勝でオープンまで駆け上がり、4歳時には5つのG1レースを含む重賞6連勝を記録。ダート競走においては世代トップに躍り出た。

 「牧場時代から欠点のない馬でしたが、ここまで強くなってくれるとは思いませんでした」という生産者の戸惑いをよそに勝利を積み重ねたエスポワールシチー。米国遠征後も名古屋大賞典(Jpn3)をレコード勝ち、そして昨年秋のみやこS(G3)では5連勝中のトウショウフリークに先輩の貫禄を見せつけた。

 そんな中で、今回は2年ぶりのG1勝利。「ドバイ遠征組こそいませんでしたが、前年の覇者フリオーソを筆頭に強いメンバーが相手でした。それでもエスポワールシチーを信じていましたし、きっちりと仕上げてくれた厩舎関係者や、完璧な騎乗を見せてくれた騎手に感謝したいです」と喜んでいる。

 2年ぶり3度目のかしわ記念(Jpn1)優勝は、ダートG1競走6勝目。復活を強く印象付けるものとなったが、残念なことがひとつ。「帰りの飛行機の時間が迫っていて、口取り写真に入るのが精一杯だったんです。そのチケットしか取れなかったんです」。余韻を楽しむ間もなく競馬場をあとにせざるを得なかった。

 ほとばしる情熱を闘争心に換え、文字どおりに命を削りながら疾走するサラブレッドたち。そんなサラブレッドたちにとって、競走生活は決して長いものではない。しかし、エスポワールシチーは見事な復活劇を果たした。

 「3度目のJRA賞最優秀ダート馬。ここまで頑張ってくれた馬のため、この馬に関わったすべての人のために取れるチャンスがあるなら、狙って欲しい」と少し照れくさそうに話してくれた。

 エスポワールはフランス語で“希望”を意味する言葉。多くの人の希望を背負い、3度目のチャンピオンの座を狙う。