重賞ウィナーレポート

2012年04月13日 ル・プランタン賞

2012年04月13日 佐賀競馬場 雨 重 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:メイレディ

プロフィール

生年月日
2009年05月03日 03歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:12戦4勝
総収得賞金
20,829,000円
ジェニュイン
母 (母父)
ゴッドエンジェル  by  ラムタラ(USA)
馬主
戸部 弘
生産者
小池 博幸 (荻伏)
調教師
保利 良次
騎手
木村 健
  • メイレディの母ゴッドエンジェル(11歳)
    メイレディの母ゴッドエンジェル(11歳)
  • ゴッドエンジェルは日本を代表する名牝系の出身
    ゴッドエンジェルは日本を代表する名牝系の出身
  • ゴッドエンジェルとメイレディの半弟(牡当歳、父ノボジャック)
    ゴッドエンジェルとメイレディの半弟(牡当歳、父ノボジャック)
  • 北海道浦河町にある小池牧場の放牧地
    北海道浦河町にある小池牧場の放牧地

 「グランダム・ジャパン」3歳シーズンの第3戦は、佐賀競馬場で行われた「ル・プランタン賞」。“ル・プランタン”とはフランス語で“春”を意味し、2003年に創設された当初から佐賀競馬場で春先に実施されている3歳牝馬の重賞競走。2010年より地方競馬全国交流競走となり、「グランダム・ジャパン」シリーズに組み込まれた。

 今年の「ル・プランタン賞」当日はあいにくの雨模様だったが、前走の「若草賞(福山)」で惜しくもクビ差の2着に敗れた兵庫からの遠征馬メイレディが、好スタートから先頭にたって後続を突き放し、4馬身差の圧勝劇で1.7倍の圧倒的な人気に応え優勝。昨年10月の未来優駿シリーズ「兵庫若駒賞(園田)」以来となる重賞制覇で、「グランダム・ジャパン」3歳シーズンの暫定トップに躍り出た。

 メイレディを生産したのは、北海道浦河町の小池博幸さん。浦河町で祖父の熊太郎さん、父の勝義さんと3世代続く生産者だ。半世紀以上となる馬産の歴史の中で、オンワードボルガ(85年JRA最優秀障害馬)、アサカツービート(87年天皇賞(秋)(G1)3着)、ミッキーベル(04年ダイヤモンドS(G3)2着)、クリノロイヤル(87年京浜盃)、ダンシングスキー(05年九州ダービー栄城賞)などを生産してきた。現在は約10ヘクタールの土地に繁殖牝馬3頭を抱え、家族だけで切り盛りしている小さな牧場だ。

 メイレディは“華麗なる一族”といわれた名門ファミリーの出身馬。3代母のハギノトップレディは80年の桜花賞馬。その母イットーも73年の最優秀3歳牝馬、75年の最優秀5歳以上牝馬に選出された名牝で、一族には“黄金の馬”ともいわれたハギノカムイオーもいる。

 「メイレディの母ゴッドエンジェルを、お世話になっている牧場から譲り受けたのがきっかけです。この牝系は、浦河町というよりも日本を代表するファミリーなので、誰もが欲しがる血統だと思います。さらに、ゴッドエンジェルの父は奇跡の名馬ラムタラで、ずっと欲しかった血統なので二つ返事で迎え入れました。過去に自分でもラムタラを配合したことがあったのですが、その仔は残念ながら流産してしまっていたんですよ」と小池さん。

 その母にジェニュインを配合した理由については、「ダートもこなせるスピードのある種牡馬、シャープな体型を頭に入れて選びました」と話す。生まれた頃のメイレディについては、「大きな馬でした。当歳のうちは牡馬と牝馬を一緒の放牧地に放すのですが、そこではオトコ馬相手に威張るような、そんな馬でしたよ」と牧場時代を振りかえった。なかなか行き先が決まらずにいたところ、縁あって今の馬主さんとめぐり合ったそうだ。

 「ル・プランタン賞の時間はちょうど獣医師さんが来場していて往診を受けていましたので、リアルタイムでレースは見られなかったんです。結果はメールで知らされました。あとでレース映像を見たのですが、勝ったのが分かっていたので安心して見られました(笑)」と笑う。

 「牝馬の価値を高めようというグランダム・ジャパンシリーズは、牧場にとって嬉しい企画です。メイレディはまだ3歳になったばかりですし、無事に長く走って、シリーズ全体を盛りあげていって欲しいですね」と愛馬にエールを送る。

 「馬に頑張る力をもらっています。私たちは家族だけで営む牧場ですから時間的な制約はありますが、たまには競馬場へも応援に行きたいと思います。生産者としては無事に走ってくれることが一番ですが、応援してくださる人たちのためにも頑張って欲しいですね」と小池さん。浦河の小さな牧場で育まれた名門ファミリーの血が、「グランダム・ジャパン」シリーズで大きく花開こうとしている。