2012年02月26日 阪急杯 G3
優勝馬:マジンプロスパー
プロフィール
- 生年月日
- 2007年03月07日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:16戦7勝
- 総収得賞金
- 238,839,000円
- 馬主
- 佐々木 主浩
- 生産者
- ハシモトフアーム (新冠)
- 調教師
- 中尾 秀正
- 騎手
- 浜中 俊
春のスプリントG1に向けての前哨戦、阪急杯(G3)は上り調子の5歳牡馬マジンプロスパーが快勝。持ち前のスピードは一線級相手にも十分に通用することを証明した。
本馬の生産は北海道新冠町のハシモトファーム。過去にはダイワテキサス、トップガンジョー、ナイキアディライトといった重賞勝ち馬を生産し、現役馬としては地方ダート最強馬と称されるフリオーソ、今年1月の大井重賞・金盃を優勝したトーセンルーチェ、JRA準オープンクラスで卒業間近のシルクアーネストらがいる。
同牧場の橋本浩さんはレースを振り返って、「早くから高い能力を感じていた馬で、重賞を勝つことができて嬉しいです。デビュー当初はかき込むような走りでしたが、近走では首を上手に使うフォームに変わり、成長が伝わってきます。一時は未勝利戦を勝てず、地方競馬に移籍して再出発した馬で、ここまで来られたのは調教師、騎手、オーナーのおかげですね。感謝でいっぱいです。」と、喜びを語ってくれた。
本馬は母ハリウッドドリームの2番仔として2007年に誕生。母は1勝馬で、祖母オリンピアデュカキスはイタリア1000ギニー(G2)の勝ち馬だ。牧場時代の本馬については、「大きな馬で、腰もトモも立派でしたよ。中尾秀正調教師からも高い評価をいただいていました。」と、橋本さんは思い出す。当歳秋まで同牧場で過ごし、その後は白老ファーム・早来ファーム、ノーザンファームで育成が施され、数々の重賞馬や後の3冠馬が通ったエリートコースを歩み、入厩へと至った。
今年4歳となる本馬の半妹ケイト(父ブライアンズタイム)は現在2勝をマークしており、半弟に父ジャングルポケットの2歳馬、父クロフネの1歳馬が続く。「2歳馬は線のきれいな馬で、軽さがありますね。1歳馬は対照的にがっちりしたタイプで、マジンプロスパーに似ています。大きく育ちそうです。」と、橋本さんは紹介する。2歳の半弟は関東入厩予定で、1歳の半弟は同牧場で、目下、競走馬としての基礎を築く毎日だ。
母ハリウッドドリームは今年、父シンボリクリスエスの牡馬を無事出産、来年に向けてキングカメハメハと種付けを行った。放牧地では母仔とも元気いっぱいの様子で、広い放牧地をのびのびと過ごす。
同牧場が構える新冠町の泊津地区は山々の地形を生かし、起伏に富んだ放牧地に恵まれている。坂といってもスキーやスノーラフティングができそうなぐらい、ダイナミックな坂だ。馬たちはそこへ放たれると、その坂を行ったり来たりしながら自然と足腰を鍛える。
「長く競馬に使える、丈夫で強い馬づくりを目指しています。早期引退では馬主さんもやりきれないですからね。」と、橋本さん。思い描くサラブレッドを求めて、昨年からは冬季の夜間放牧にも取り組んでいる。
育った背景を思い起こせば、阪神の坂も中京に新しくできた坂も、マジンプロスパーのスピードを鈍らせるものではないのだろう。実際、昨年6月の阪神・1000万下では1分19秒9という出色の時計で逃げ切っており、差し・追込馬にとって脅威の存在として名を轟かす。
「トップクラスの馬とも好勝負できる可能性を秘めていると思います。次のG1は競馬場まで応援に駆けつける予定です。」と、橋本さんは静かに期待を寄せる。その名にふさわしい迫力を増しながら、一気にG1をも突き破るか、次の一戦も大いに楽しみだ。