2012年02月12日 京都記念 G2
優勝馬:トレイルブレイザー
プロフィール
- 生年月日
- 2007年03月15日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:18戦6勝
- 総収得賞金
- 247,832,000円
- 父
- ゼンノロブロイ
- 母 (母父)
- リリオ(USA) by フォーティナイナー(USA)
- 馬主
- 前田 幸治
- 生産者
- ノースヒルズマネジメント (新冠)
- 調教師
- 池江 泰寿
- 騎手
- 武 豊
伝統の1戦、第105回京都記念(G2)を制したのは、新冠町ノースヒルズ生産のトレイルブレイザーだった。出走9頭のうち6頭が重賞ウイナーという強者揃いの中、4コーナーで早々と先頭に立つ積極的なレース運び。直線に向いてコースの真ん中に進路をとると、豪快に押し切った。
「当日は事務所でテレビ観戦。スタッフ全員で集まって見ていました。G1を勝っている馬もいて、かなり骨っぽい相手でしたが、さすが武豊さんというレース運びでしたね。残り200mくらいのところでこれならいけるかもと勝利を意識して、ゴールした瞬間はみんな大歓声でした」(ノースヒルズ繁殖マネージャー・佐藤雄輔さん)
“チャレンジングスピリット”をモットーに掲げ、年々飛躍を続けるノースヒルズ。2011年度の中央ブリーダーズランキングはノーザンファーム、社台ファーム、社台コーポレーション白老ファームに続く4位。すでに日本の競馬界をリードする存在だが、佐藤さんは「これが3年、5年と続いて本物ですよね。半年ちょっとの成績で何がどうとはいえませんから」と気を引き締める。とはいえ、これが一過性の成績でないことは、高い勝率が示すとおり。世代間のバラつきや条件による偏りが少ないのは、生産(及び育成)馬全体の底上げができているからだろう。「たしかに繁殖の質は向上しています。それに、5年前、10年前から働いているスタッフたちは、その時間の分だけキャリアを積んでいますからね。そうした面でも前進はできていると思います」。
生産拠点である新冠町ノースヒルズの大事な役割は「馬の持って生まれた力を削ぐことなく、次のステージに進ませること。みんなに愛される馬を送り出すこと」と佐藤さん。牧場では普段の生活からスタッフ同士で過ごすことが多く、馬の移動に際してもスムーズに情報のやりとりができるという。育成の大部分を担う大山ヒルズ(鳥取)へ移動後もしっかり連携して、スタッフ間で情報を共有している。「栄養コンサルタントの方が大山に入る時に合わせて年4回、ノースヒルズのスタッフが大山に行く機会を設けています。スタッフ同士の交流ができますし、生産~育成、デビューまで競走馬の歩みをすべて見ることで、自分の仕事のつながりをイメージしやすくなりましたね」。
孝行息子の活躍で一躍、その名を高めた母リリオはファレノプシス、アランセラ、キュンティアらと同じ1995年生まれの米国産馬。自身は3歳春にデビューするも、11戦1勝3着2回という成績で引退。華々しくG1戦線で活躍した同世代と比べるとあまり目立つ存在ではなかった。佐藤さんがリリオと初めて相対したのは繁殖入り後のこと。「大人しくて扱いやすそうだ」とは思ったものの、もともと小柄な体型であり、一見して受ける印象は薄かったという。しかし、生まれてきた産駒たちはいずれの子も馬格に恵まれ、逞しい体つきをしていた。6番仔のトレイルブレイザーも同様で、「当歳の頃から背が高く、雄大な馬格もっていた」。
元来の血統の良さに恵まれた馬格。それに加えて競走馬が大成するためには欠かせない扱いやすさ。トレイルブレイザーが持って生まれた高い資質を、ノースヒルズ、大山ヒルズのスタッフたちは削ぐことなく育んだ。もちろん、やるべきことをきっちりやりながら。「前回重賞を勝った時は斤量55キロ。今回は57キロを背負っての勝利ですから、大したもの。まだ5歳ですし、これからが本当に楽しみですよ」
もし選ばれたなら次戦は僚馬トランセンドと共にドバイ遠征(3月31日、UAEメイダン)へ。チーム・ノースヒルズの世界を見据えた戦いが始まる。