重賞ウィナーレポート

2012年02月05日 東京新聞杯 G3

2012年02月05日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ガルボ

プロフィール

生年月日
2007年05月05日 05歳
性別/毛色
牡/青毛
戦績
国内:22戦3勝
総収得賞金
344,321,000円
マンハッタンカフェ
母 (母父)
ヤマトダマシイ  by  ジェネラス(IRE)
馬主
石川 一義
生産者
高村 伸一 (様似)
調教師
清水 英克
騎手
石橋 脩
  • 丘の上にある広大な放牧地で過ごす繁殖牝馬たち
    丘の上にある広大な放牧地で過ごす繁殖牝馬たち
  • 元気な1歳馬と高村洋子さん
    元気な1歳馬と高村洋子さん
  • 所狭しと置かれたお祝いの品
    所狭しと置かれたお祝いの品

 強豪マイラーが顔を揃えた第62回東京新聞杯(G3)は、8番人気のガルボが逃げたコスモセンサーとの競り合いをクビ差制し、10年のシンザン記念(G3)以来となる重賞2勝目をあげた。

 ガルボを生産したのは、様似町の高村伸一牧場。高村伸一、洋子夫妻とパート従業員の3人で7頭の繁殖牝馬を所有する家族経営の牧場だが、94年の京都新聞杯(G2)を制したスターマンをはじめ、同年北九州記念(G3)勝ち馬イブキファイブワン、新潟記念(G3)勝ち馬のインターシュプール、08年NzT(Jpn2)のサトノプログレスなど、コンスタントに重賞馬をターフに送り出している。

 レース当日、高村夫妻は自宅でレースを見守っていた。「前回の重賞勝利もそうだし、寒い時期に走る馬だから掲示板くらいはあるかも?と期待はしていましたが、賞金が足りなくて除外対象になっているということで現地応援は見送りました。それが無事出走できてあれよあれよという間に勝ってしまった。運が味方したんですね」と洋子さんは笑う。

 ガルボは、牧場のオーナーブリーディングホースであるヤマトダマシイの最後の仔として、牧場にとって大きな改革の時期に誕生した。「これまでの馬産といえば、寒い時期なら日が昇って暖かくなってから放牧に出す、雨が降ったら厩舎に入れる、というのが普通で、馬をガラス細工のように扱っていました。でも、それでは強い馬を作れない。勇気のいる決断でしたが、夜間放牧を導入したんです。はじめた年に生まれて、当歳から夜間放牧を経験したのがサトノプログレス。そして2年後に生まれたのがガルボでした」。

 最初は試行錯誤の連続だった夜間放牧。月日が経つに連れてノウハウを覚え、軌道に乗りはじめた頃生まれたガルボは高村さんの願い通り逞しく成長して行った。

 小柄だったため1歳秋まで成長を待ち、オータムセールに上場されたが買い手が付かず主取りとなってしまう。「母であるヤマトダマシイも420kg前後で競馬をしていた小柄な馬だったので、ガルボも牡馬にしては線が細かったですね。だけどバランスが良く、どこに出しても恥ずかしくない垢抜けした馬体をしていましたから自信を持ってせりに上場したんですが“小さい”ということが嫌われてしまってね」と振り返る。

 縁あって今の馬主さんに出逢い、競走馬として走りはじめたガルボ。伸一代表は「デビュー当時430kg台だった馬体重も480kgと立派になり、強い相手にも勝てるほどに成長した。脚元も丈夫だし、元気に、息の長い活躍をしてもらいたいです」と成長著しい生産馬にエールを送った。