2012年01月29日 根岸S G3
優勝馬:シルクフォーチュン
プロフィール
- 生年月日
- 2006年02月14日 06歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:25戦7勝
- 総収得賞金
- 291,578,000円
- 母 (母父)
- シルクエスペランサ(USA) by Alwuhush(USA)
- 馬主
- 有限会社シルク
- 生産者
- 中地 義次 (新冠)
- 調教師
- 藤沢 則雄
- 騎手
- 藤岡 康太
長い直線をまるで楽しむようにグイグイと伸びてくる。フェブラリーS(G1)の前哨戦、第26回根岸S(G3)を制したのは、新冠町中地義次氏生産のシルクフォーチュンだった。昨年7月のプロキオンS(G3)の再現VTRを見るようなレース運びで、上がり3ハロンは芝並の34秒9。このキレ味、末脚の持続性、やはりただ者ではない。
「いつもの後方待機から直線勝負。でもこないだは明らかにペースが遅かったですからね。馬体重が予想外に増えていたし、この流れでどこまで来るかなと、気楽な気持ちで見ていました。それがあの走り。直線の脚色を見た時に、これならと思いました。重賞を勝つ馬が出ること自体がすごいのに、2つも勝てるなんて本当に幸せです」(中地義次さん)
プロキオンS(G3)の重賞ウイナーレポートで「今度重賞レースに出たら現地まで駆けつけたい」と話していた中地さんだが、この日はテレビ観戦。実は昨年秋のマイルChS南部杯(Jpn1)と武蔵野S(G3)は現地で見届けていたのだが、不利を受けたり、ちぐはぐな競馬になったりで残念な結果に。「マイルChS南部杯(Jpn1)は能力を再確認したレースだったのですが、審議でも覆らず3着。武蔵野S(G3)は出遅れたうえにモタついて…」。そうそううまくいくものではない、と自分で自分に言い聞かせながらも、日帰りで往復10時間の移動は肉体的に応えた。
「孫がまだ幼く、今は夫婦2人で馬の世話をしているので、家を出るのは朝の仕事を終えてから。競馬場に着くのはレースの1時間前で、終わったらすぐに帰らないといけません。負けると競馬場から駅までの道のりが長く感じられてね。飛行機代ももったいないし、家族には『お父さんが行くから勝てないんだ』なんて言われたりして(苦笑)。えい、もうやめた、となってしまった」
娘さんに“今日はお父さんが行かないから勝つかも知れないね”と言われつつ迎えた、シーズン緒戦の根岸S(G3)。ここ数戦のうっぷんを晴らすような豪脚でシルクフォーチュンは2つ目の重賞タイトルを獲得した。
「常識では考えられないことかもしれないけど、あの馬は6歳にしてまた強くなっているように感じます。馬体増も重いわけではなく、もうひと回り筋肉がついたような。次は相手も揃うけど、うちの馬にもチャンスはあるはず。楽しみですね」
これまでは競馬場に行くたびに負けたため、残念ながら験のいいスーツがない。次走フェブラリーS(G1)に向けては、思い切って新調するつもりだ。
2月19日の東京競馬場。
ピカピカのスーツを着た中地さんは、3度目の正直で歓喜の瞬間を待つ。