2012年01月25日 川崎記念(中央交流) Jpn1
優勝馬:スマートファルコン
プロフィール
- 生年月日
- 2005年04月04日 07歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:33戦23勝
- 総収得賞金
- 990,736,000円
- 母 (母父)
- ケイシュウハーブ by ミシシツピアン(USA)
- 馬主
- 大川 徹
- 生産者
- 岡田スタツド (静内)
- 調教師
- 小崎 憲
- 騎手
- 武 豊
少しでも強くなるために、競走馬は日々トレーニングを積む。そのうえで人は馬が歩む道を考え、選ぶ。結果がすべての競馬の世界において、勝利は何にも代え難い成果となる。
前人未踏の重賞9連勝。スマートファルコンは川崎記念((Jpn1)、2100m、川崎、1月25日)で通算19個目の重賞タイトルを手にした。
「ロケットスタートを決めて行けた時に、ああ良かったと思いましたね。この馬らしい強い勝ち方をしてくれて安心しました」生産者・岡田スタッドの岡田将一さんはホッと息を吐いた。昨年暮れの東京大賞典(G1)が思わぬ辛勝。やや太めが残っていたとはいえ、格下のワンダーアキュートにハナ差まで詰め寄られた走りは満足いくものではなかった。
「それだけに厩舎サイドは川崎記念(Jpn1)で結果だけではなく、内容も求めたのだと思います。絶対に負けられない、勝つんだという強い気持ちが表れた仕上げでしたから」。7キロ絞ってより精悍になったスマートファルコンは、最後は流して後続に4馬身差の圧勝。ヴァーミリアンがもつ記録を2秒更新するレースレコードのおまけつきだった。
「これで胸を張って次に進めます。ここまで来たら10連勝を見たいですね」(岡田氏)
スマートファルコンがもつ重賞タイトルはいずれも地方のダートグレード競走で挙げたもの。08年8月の小倉戦を最後に中央では出走しておらず、主戦場は全国各地の地方競馬場だ。「最近は南関東のパドックで『おかえり』、『待っていたよ』と声をかけられるようになりました。まるで地元馬のように迎えてくださいます」こういうファンの方々の気持ちが嬉しい、と岡田さん。
そんな暖かい声援に励まされる一方で、ダートグレード競走に偏ったレース選択に対して、批判的な意見があることも承知している。「立場が違えば、考えや見方もさまざまです。これだけ強いのだから中央のレースに出るべきだ、という気持ちもわかります。ただ間違いなく言えるのは、これまでの歩みはオーナーや調教師、ジョッキーが勝てるレースを選んで、そこをちゃんと勝ってきた結果だということです。馬の状態を見極めて、適性を定めて、レースを選ぶ。それを徹底してきたからこそ今のスマートファルコンがいると私は思っています」(岡田氏)
通算33戦23勝。成績表を見てわかるとおり、負担重量59キロ以上となるレースには出走してこなかった。また、距離に関していえば最もパフォーマンスを高められるのは「2000m~2100m」(岡田さん)。これまで各方面から出走を望む声があったJCダート(G1)(1800m)やフェブラリーS(G1)(1600m)は、スマートファルコンにとって決してベストの舞台とはいえなかったのだ。
中央のG1タイトルはなくても、JBCクラシック(Jpn1)でトランセンドを負かした内容は間違いなく日本トップレベルを証明するもの。川崎記念(Jpn1)は“これでもか、これでどうだ”と言わんばかりの走りだった。とどめは満を持してのドバイワールドカップ(G1、2000m、UAEメイダン、3月31日)挑戦表明だ。
「レーティング118(2011年ワールドサラブレッドランキング99位)ですが、これまでの実績、相手関係から選んでいただけると信じています。馬自身のためにも、ダートグレード競走の価値を高めるためにもぜひ出走して、良い走りを見せてもらいたい。オーナーや調教師、みんなの意気込みが何よりも勝る、そんな結果になれば最高ですね」
いま、日本でもっとも勝ち続ける方法を知っているチーム・スマートファルコン。彼らが出走にこぎつけた時、競馬史に新たな記録が刻まれる。