重賞ウィナーレポート

2011年11月13日 武蔵野S G3

2011年11月13日 東京競馬場 晴 稍重 ダ 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ナムラタイタン

プロフィール

生年月日
2006年05月20日 05歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:17戦8勝
総収得賞金
308,301,000円
サウスヴィグラス(USA)
母 (母父)
ネクストタイム  by  アフリート(CAN)
馬主
奈村 信重
生産者
野坂牧場 (静内)
調教師
大橋 勇樹
騎手
熊沢 重文
  • 母ネクストタイムと野坂真さん
    母ネクストタイムと野坂真さん
  • ネクストタイムはサウスヴィグラスを受胎
    ネクストタイムはサウスヴィグラスを受胎
  • 山の傾斜をそのまま生かしている
    山の傾斜をそのまま生かしている
  • 広大な放牧地で悠々と暮らす馬たち
    広大な放牧地で悠々と暮らす馬たち
  • 牧場の歴史を伝える記念品
    牧場の歴史を伝える記念品

 第16回武蔵野S(G3)は、4番人気ナムラタイタンが直線抜け出した人気のダノンカモンを差し切り重賞初勝利を飾った。開業9年目を迎える大橋勇樹調教師、父サウスヴィグラスにとっても記念すべき中央重賞初勝利となった。

 ナムラタイタンを生産したのは新ひだか町の野坂牧場。芝の中~長距離重賞の常連、タマモハイウェイなど活躍馬を送り出しているが、重賞制覇は90年の小倉3歳S(G3)馬テイエムリズム以来21年振り。

 現在は三代目になる野坂洋治さんを中心に、スタッフ4人で150ヘクタールの広大な敷地に15頭の繁殖牝馬を繋養している。

  レース当日、東京競馬場へ駆けつけたのは洋治さんの息子である真さん。何度か競馬場に足を運んでいる真さんの前を落ち着いて周回する生産馬の姿は、とても良い状態に映った。「ゴール板を過ぎるまでは無我夢中で、思いっきり声を張り上げて声援を送りました。自分が牧場業務に就いてはじめての重賞勝ちでしたし、その瞬間を目の前で見れたことが嬉しかったです」。管理する大橋勇樹調教師にとってもはじめての重賞口取り。しかし、残念ながらそれは行われなかった。レース中に蹄鉄がずれ、左後肢の蹄底部に外傷を負っていたのだ。

  ナムラタイタンはデビュー戦を4馬身差で圧勝したあと蹄骨骨折という大怪我を負い、半年間の休養を余儀なくされた。そして休養を挟んで6連勝、一気にオープンまで登り詰めた。「その時も大橋先生をはじめとする厩舎スタッフの皆さん、馬主さんがゆっくり経過をみてくれたから今の活躍があると思っています。口取りはまだまだ機会があると思いますしね」と真さんは笑った。

 本馬の母、ネクストタイムは未出走のまま繁殖入り。産駒9頭中7頭が牡馬という孝行娘だ。ナムラタイタンの当歳時の印象を真さんに訊ねると「記憶にないくらい普通」だったとの答えが返って来た。「今は500キロを超える大きな馬ですが、当歳の頃は小さかったかな。この血統は総じて1歳夏以降に成長するので、うちを離れて育成場に移ってからぐんぐん大きくなる。だから特に心配はしていませんでした」と振り返った。

 「ナムラタイタンの勝利は、今まで牧場を良くしようと時間をかけてやって来たことに対する結果であり、通過点。1頭だけ走って、他はみんな未勝利では話にならない。生産馬が全頭無事にデビューし、勝ち上がれる馬づくりをしっかりとやっていきたい」と真さんは決意を新たにしていた。