重賞ウィナーレポート

2011年10月15日 デイリー杯2歳S G2

2011年10月15日 京都競馬場 小雨 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:クラレント

プロフィール

生年月日
2009年03月02日 02歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
408,860,000円
ダンスインザダーク
母 (母父)
エリモピクシー  by  ダンシングブレーヴ(USA)
馬主
前田 晋二
生産者
ノースヒルズマネジメント (新冠)
調教師
橋口 弘次郎
騎手
小牧 太
  • 当歳時のクラレント
    当歳時のクラレント
  • ダンスインザダーク譲りの脚長な馬体です
    ダンスインザダーク譲りの脚長な馬体です

 毎年素質馬が集う2歳重賞、デイリー杯2歳ステークス(G2)はキャリア1戦のクラレントが差し切り勝ち。兄リディルは一昨年のこのレースの勝ち馬で、見事に兄弟制覇を達成。2歳チャンピオンを見据えて狼煙を上げた。

 本馬の生産牧場は新冠町にある(株)ノースヒルズ。同郷からはノーリーズン、ファレノプシスといったクラシック馬が誕生しており、毎年のようにクラシック戦線に有力馬を送り込んでいる。現2歳世代からはヴェアデイロス、ブライトライン、同牧場グループの育成馬としてモンストール、オーブルチェフなどが早くも将来性をアピールする走りを見せており、クラレントがかつて過ごした仲間と大舞台であいまみえる日も遠くないだろう。

 同牧場ゼネラルマネージャーの福田洋志さんにレースの感想を伺うと、「優勝することができて嬉しく思っています。2戦目ながらレースセンスを感じさせるレースぶりで、今後に向けて更に期待が膨らみました。」と、喜びを語った。ちょうど兄リディルのデイリー杯2歳S(Jpn2)優勝時の取材で紹介させていただいた馬が本馬で、今となってはあの回が“予告編”となった。

 本馬の母は現役時代7勝をあげた活躍馬エリモピクシー。初仔が前述のリディルで、2番仔として誕生したのが本馬だ。福田さんは、「初仔のリディルよりひとまわり大きく生まれました。父ダンスインザダーク譲りの脚の長さがあって、品のある立派な当歳でした。橋口調教師はデビュー前から本馬を高く評価してくださっていました。」と、振り返る。1歳の春先に疝痛で開腹手術をしたが、その後は順調に回復し、入厩までの育成もスムーズに運んだ。当時携わった牧場スタッフは“従順で人なつこい馬でした”と懐かしみながら教えてくれた。

 兄同様、そのレースぶりからは機敏さ、軽やかさを感じるが、重厚感を感じる血統背景も強調すべき点。母はマイル前後で勝ち数を伸ばした一方、エリザベス女王杯(G1)で4着に好走し、全姉にはエリザベス女王杯(G1)を制したエリモシックがいる。母の父は凱旋門賞馬で、ここにスタミナ豊富なダンスインザダークの血をかけ合わせるとなれば、マイル以上で本領発揮するのではと想像せずにはいられない。キャリアも浅く、これからどんな到達点へと辿るか興味深い。

 「今後も順調に重賞戦線を歩んでいけることを願っています。しっかり折り合いのつく馬ですし、血統的に距離が延びても大丈夫でしょう。来年はクラシックをにぎわせる存在になって欲しいです。」と、福田さんは静かに未来を見つめる。幾多のオープン馬を擁する牧場から、また一頭、大器を予感させる逸材が現れた。