重賞ウィナーレポート

2011年08月07日 関屋記念 G3

2011年08月07日 新潟競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:レインボーペガサス

プロフィール

生年月日
2005年03月30日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:20戦5勝
総収得賞金
191,203,000円
アグネスタキオン
母 (母父)
ギャンブルローズ  by  デインヒル(USA)
馬主
吉村 敏治
生産者
村下 明博 (荻伏)
調教師
鮫島 一歩
騎手
安藤 勝己
  • 英子さんとご家族の皆さん
    英子さんとご家族の皆さん
  • サンタローズと今年の当歳(牝 父キングカメハメハ)
    サンタローズと今年の当歳(牝 父キングカメハメハ)
  • 厩舎の周りには英子さんが栽培した花が並ぶ
    厩舎の周りには英子さんが栽培した花が並ぶ
  • 広々とした放牧地
    広々とした放牧地

 夏のマイル重賞、関屋記念(G3)はレインボーペガサスが優勝。3歳春のきさらぎ賞(Jpn3)以来となる久々のタイトル奪取を果たした。

 本馬の生産は浦河町の村下明博さん。繁殖牝馬12頭の家族経営の牧場だ。さっそく優勝の喜びに沸く牧場へと足を運ぶと、玄関にはお祝いの花が所狭しと飾られてあった。出迎えてくれた村下明博さんのお母様の英子さん。レースのご感想を伺うと、「優勝できて嬉しいです。直線半ばで先頭に立った時は、後ろから差し馬が迫っていたし、早くゴールが来て欲しいと祈っていました。また重賞を勝ってくれるなんて夢みたいで、家族で大喜びしました。」と、感動の胸中を再び伝えてくれた。

 レース当日、英子さんと明博の奥様の生恵さんは自宅の居間でテレビ観戦。明博さんは現地、新潟競馬場に駆けつけ、吉村敏治オーナー、鮫島一歩調教師と共に栄えある勝利を見届けた。

 前回のきさらぎ賞(Jpn3)優勝時も歓喜のるつぼにいたという英子さん。その時は確定後にテレビ中継でアナウンスされる“生産者は村下明博さん”の場面を聞き逃したそうだが、今回は前回の教訓から、“そこはしっかり聞けました(笑)”とニッコリ。

 その日の晩にはご近所の方を招いて祝勝会を行い、新潟にいる明博さんとゆっくり電話で話せた頃には深夜になっていたという。祝勝会の段取りや馬の出し入れは近くの高昭牧場の皆さんが力を貸してくれたそうで、“いつもご親切に手伝っていただいていて、感謝でいっぱいです”と、英子さんは話す。

 牧場時代の本馬については、「初仔のわりに馬格がありました。放牧地で母馬から離れた場所にいても平然としていて、大人びた馬でした。」と、当時を振り返る。1歳秋まで牧場で過ごし、その後は浦河町の吉澤ステーブルで育成された。

 残念なことに、本馬の母ギャンブルローズは本馬と離乳後に重度の骨折をしてしまい、8歳の若さで亡くなってしまった。現役時代は6勝をマークしたオープン馬で、第2仔の相手にはキングカメハメハが選ばれていた。「子育ても上手だったし、繁殖牝馬としても素晴らしい馬でした。たった一年でこんなことになるなんて…悲しい出来事でした。」(英子さん)後に日本ダービー(Jpn1)まで出走することとなった息子の頑張りを、ギャンブルローズは天国で見守っていたことだろう。

 牧場にはギャンブルローズの半妹サンタローズが里帰りしており、これまで2頭の仔を生んでいる。1歳が父ネオユニヴァースの牝馬で、当歳は父キングカメハメハの牝馬。今年は再度キングカメハメハを種付けし、無事受胎している。

 「今年のサンタローズの当歳も順調に育っています。母に似て頭が良く、大人しい馬です。」と、紹介してくれた。祖母は桜花賞(G1)4着馬のユキノローズで、長きにわたって活躍馬を送り出しているファミリー。一流種牡馬とのカップリングを重ね、また新たな逸材が生み出されることだろう。

 久しぶりの重賞制覇で再び存在感を示したレインボーペガサス。3歳時、牡馬クラシックで上位争いした力は伊達ではない。チャンピオンの座を狙える強豪として、今後の歩みにも俄然期待が膨らむ。英子さんは、「屈腱炎で長期休養したこともありましたしね。今後も無事に、息長く走って欲しいと思います。」と、戦う愛馬を思いやる。

 取材の終わりにはファンの方からいただいた競馬場での写真やイラストを取り出して、思い出話に花を咲かせた。「競馬場まではなかなか行けなくても、こうしてファンの方が写真を撮ってくれたり、ダービーの時は応援幕を出してくれたり、本当にありがたいことですね。」と、英子さんはそのぬくもりを大切に思う。ファン、関係者のあふれんばかりのエールを追い風に、レインボーペガサスの躍進は続いていくことだろう。