重賞ウィナーレポート

2011年05月28日 目黒記念 G2

2011年05月28日 東京競馬場 雨 稍重 芝 2500m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:キングトップガン

プロフィール

生年月日
2003年04月24日 08歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:35戦6勝
総収得賞金
196,417,000円
マヤノトップガン
母 (母父)
グリタリングフラワ  by  マルゼンスキー
馬主
池田 豊治
生産者
北星村田牧場 (新冠)
調教師
鮫島 一歩
騎手
横山 典弘
  • 牧場の皆さん(一番右が洋平さん、左から2番目が明美さん)
    牧場の皆さん(一番右が洋平さん、左から2番目が明美さん)
  • 母グリタリングフラワと当歳(父タイキシャトル)
    母グリタリングフラワと当歳(父タイキシャトル)

  • 厩舎は馬が快適に過ごせるよう様々な工夫が施されている
    厩舎は馬が快適に過ごせるよう様々な工夫が施されている
  • 換気を考慮して吹き抜けになっている高い天井が印象的
    換気を考慮して吹き抜けになっている高い天井が印象的

 第125回目黒記念(G2)は、51キロの軽ハンデを生かし終始2番手の先行策をとったキングトップガンが、直線先頭に立つと猛追してくるG1馬、重賞勝ち馬たちをクビ差凌ぎきり、先頭でゴール。故障による長期休養を乗り越え、8歳にしてようやく掴んだ重賞初勝利だった。

 キングトップガンを生産した新冠町の北星村田牧場は、1964年村田光雄さんが創業した古い歴史のある牧場。現在代表を務める2代目村田春末さん、3代目になる息子の洋平さんと、妻の明美さん(明美さんは元道営女性騎手)家族のほか、従業員3人で25頭の繁殖牝馬を繋養している。

 主な生産馬は97年の阪神3歳牝馬S(G1)を制したアインブライド、93年のフェブラリーH(G3)勝ち馬で種牡馬となったメイショウホムラ、重賞勝利は01年、トラストファイヤーで制したラジオたんぱ賞(G3)以来10年振りとなった。

 レース当日、春末さんは自宅のテレビで応援。「裸同然でレースしてたからね。直線引き離した時は勝ったと思ったけど、後ろから強い馬が来てたからゴール板を過ぎるまでヒヤヒヤしましたよ」。一方、洋平さんは種付け準備のため厩舎で作業をしていた。「レースは後でリプレイを見ればいいやと軽く考えていたのですが、いざ馬運車に乗り込んだところへお祝いの電話がジャンジャン掛かって来て。それで勝ったことを知ったんですよ」と笑った。

 馬運車はキングトップガンの父、マヤノトップガンを繋養する優駿スタリオンステーションへ向かった。「種付けはトップガンではなかったんですけど、マヤノトップガンも久しぶりの重賞勝ちでしたし、スタリオンスタッフみんなと喜びを分かち合いました」。

 種付けから戻ると祝宴の準備はすっかり整い、勝利の美酒に酔いしれていた頃、予定日を20日ほど過ぎていた母グリタリングフラワが産気付いているのを発見。「元々予定日より遅れる馬なのでそんなに気にしてはいなかったんですけど、まさかこの日に生まれてくるとは…。しかも逆子で、獣医が来るのを待っている時間もなかったからスタッフ総出で正常な位置に戻し、無事に生まれ、牡馬だったことに喜び、嬉しかったけどヘトヘトでした」と洋平さん。記憶に残る長い1日となった。

 グリタリングフラワは春末さんの生産、その母カシマアローは春末さんの父光雄さんの生産馬で、代を経ても受け継がれて来た縁の血統。マルゼンスキー肌のグリタリングフラワは気性がキツく「おっとりしている種馬がいいと思って」と春末さんの提案でマヤノトップガンが配合された。そうして誕生したキングトップガンは、期待通り扱い易い子馬だった。「多少のキツさはあるものの、癖もなくどちらかというと目立たなかった。でも、今思えばキリッとした雰囲気は持っていましたね」と洋平さんは振り返る。

 長い年月をかけて大切に育んで来た血脈が花開き、故郷へたくさんの喜びを運んだ。次走は函館記念(G3)を予定しており、村田さん親子は「函館なら現地に行って応援したい」と再会を楽しみにしている。