重賞ウィナーレポート

2011年05月15日 ヴィクトリアマイル G1

2011年05月15日 東京競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アパパネ

プロフィール

生年月日
2007年04月20日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:12戦7勝
総収得賞金
558,592,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
ソルティビッド(USA)  by  Salt Lake(USA)
馬主
金子真人ホールディングス (株)
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
国枝 栄
騎手
蛯名 正義

 実に面白いレースだった。史上3頭目となる三冠牝馬アパパネと、昨年の年度代表馬ブエナビスタの戦いは、先に抜け出したアパパネがブエナビスタの追撃をクビ差凌いで見事に優勝。名勝負の余韻を物語るかのように、ゴール後の東京競馬場には、アパパネがウイニングランを始めるまで、何とも言えないどよめきが起こっていた。

 「ブエナビスタの強さは誰もが認めるところですし、勝って欲しいと思いながらも、勝てるとまでは思いませんでした」とはアパパネを育成したノーザンファーム空港牧場の窪田淳厩舎長。しかし、アパパネがブエナビスタに勝てるならこのレースという思いもあった。

 「マイル戦ならアパパネの方が適正が高いでしょうし、ブエナビスタは海外遠征の後のレースということで、ローテーション的にも前走で内容のあるレースを見せてくれたアパパネに、つけいる隙はあるのではとも思いました」(窪田厩舎長)

 レースは窪田厩舎長が考えていたとおりに、ブエナビスタの前をアパパネが進む形となった。ただ、思ってみなかったのは、アパパネのすぐ後ろにブエナビスタがマークしていたことである。

 「あの位置にブエナビスタが付けた時には、正直、駄目かなと思いました。昨年、育成馬であるヒカルアマランサスが、直線で先頭に立ったのにも関わらず、決め手の違いでブエナビスタに差しきられたことを思い出したほどです」(窪田厩舎長)

 しかし、勝負所で鞍上の仕掛けに鋭く反応したアパパネは、一気にブエナビスタとの差を開いていく。相手は現役最強牝馬。どこまでがセーフティリードなのかという定義は当てはまらない。

 「ゴールまで声が出なかったのは、アパパネが出走したレースでは初めてです。スタートから一言も発しなかったレースというのも、育成馬では今回が初めてなのかもしれません」(窪田厩舎長)

 それは東京競馬場でレースを見ていたファンとも一緒の、「ぐうの音も出ない」レースを見せられたからだろう。優勝タイムの1分31秒9はレースレコード。レースの中身だけでなく、G1に相応しい結果の中で、ブエナビスタとの真っ向勝負を制したことは、アパパネの評価を更に上げた印象もある。

 「今回はブエナビスタだけでなく、初めて世代の違う馬たちとのレースでの優勝となりますし、改めて力のある馬だなと思いました。これほどの馬に関わることができて、改めて幸せだと感じています」(窪田厩舎長)

 今後は安田記念(G1)への出走が濃厚となっているが、タイム的にも充分に勝負となるだけに、次は牡馬を相手に勝利する姿を見せてくれる可能性は充分と言えそうだ。「安田記念(G1)も目標ですが、いつかまた、ブエナビスタと戦うレースが見たいですね」(窪田厩舎長)