2011年03月20日 阪神大賞典 G2
優勝馬:ナムラクレセント
プロフィール
- 生年月日
- 2005年04月22日 06歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:26戦7勝
- 総収得賞金
- 325,295,000円
- 馬主
- 奈村 信重
- 生産者
- 八田ファーム (静内)
- 調教師
- 福島 信晴
- 騎手
- 和田 竜二
天皇賞(春)(G1)へ向けての重要な前哨戦、阪神大賞典(G2)は6歳馬ナムラクレセントが見事に突き抜けた。3歳時から、G1で好走していた実力馬についに初タイトルの瞬間が訪れた。
本馬の生産は新ひだか町静内の八田ファーム。過去には札幌2歳S(G3)、毎日杯(Jpn3)を制したナムラマース、ファンタジーS(G3)4着のマイネエルザなどを生産している。現在、繁殖牝馬は7頭いる。
同牧場の八田勝彦さんはご自宅のテレビでレースを見守っていた。「和田騎手がうまく折り合いをつけてくれましたね。長丁場でしたが、安心して見ることができましたよ。これまで菊花賞(Jpn1)では3着に入りましたし、勝ったレースでは後の重賞勝ち馬を負かしていただけに、待望の重賞勝利です。次の大一番が楽しみになりました。」と、感想を語ってくれた。ちょうど北海道に足を運んでいたオーナーと共に喜びを分かち合ったそうだ。
牧場時代の本馬については、「薄くて脚の長い馬でした。気の強いところはありましたね。」と、八田さんは思い起こす。牧場では順調に過ごし、1歳秋にディアレストクラブに移動した。八田さんが2歳春に会いに行った時には、幅が出て馬がガラッと変わり身を見せていたという。同クラブの場長も高い評価を与えていたそうだ。
母サクラコミナは4戦2勝で引退し、繁殖牝馬としては14頭もの産駒を生み出した頑張り屋さんだ。八田さんは、「サクラコミナは父サクラショウリの特徴がよく出ている馬でした。競走生活は短かったですが、デビュー戦の勝ち時計が非常に優秀で、能力があることはわかっていました。残念ながら4戦で引退となりましたが、その分繁殖牝馬として期待していました。」と、語る。牧場には現在、同じ牝系のナムラカエデジョウが里帰りしており、1歳には父ヤマニンセラフィムの牡馬がいる。狙い通り、ナムラクレセントに似た良い馬に育っているという。
本馬の勝利で同牧場は2004年、2005年の2世代続けて重賞馬を生み出し、生産馬はクラシック牡馬3冠全てにいざなってくれた。ナムラマースは故障のために長らく戦線離脱してしまったが、今度はナムラクレセントが古馬王道路線の有力馬にのし上がっている。牧場にとって生産馬のG1出走は大きな励みだ。
八田さんは、「ナムラマースが出走した日本ダービー(Jpn1)の時に感じた、競馬場の特別な雰囲気は言葉では言い表せない感動的なものでした。ナムラクレセントはナムラマースが出られなかった菊花賞(Jpn1)に出てくれて、レースも3着に頑張ってくれて大喜びしました。G1は出られるだけでも嬉しいことです。これからも無事に長く走って欲しいです。」と、願っている。ご自宅の居間には菊花賞(Jpn1)の応援馬券とボールペンが大切に飾られていた。巣立っていった愛馬の活躍は、牧場の大きな誇りとして息づいている。