2010年12月19日 愛知杯 G3
優勝馬:セラフィックロンプ
プロフィール
- 生年月日
- 2004年04月12日 06歳
- 性別/毛色
- 牝/青鹿毛
- 戦績
- 国内:32戦5勝
- 総収得賞金
- 172,242,000円
- 母 (母父)
- エルソル by ロイヤルスキー(USA)
- 馬主
- 井上 一郎
- 生産者
- 守矢牧場 (新冠)
- 調教師
- 武藤 善則
- 騎手
- 宮崎 北斗
中京競馬場の改修に伴い、小倉競馬場を舞台に行われた牝馬重賞、第48回愛知杯(G3)はセラフィックロンプが優勝。一昨年の覇者として意地を見せた。
本馬は新冠町の守矢牧場の生産。過去には1993年のカブトヤマ記念(G3)の勝ち馬ユーワビームや、2004年の関屋記念(G3)2着馬ロードフラッグを生産している。今年は本馬に加え、タマモグレアーがジャンプ競走で好成績を収め、JG1でも注目を浴びている。現在、繁殖牝馬は13頭。
同牧場の守矢正嗣さんにお話を伺った。当日は夫人の啓子さんと自宅のテレビの前で生産馬を見守っていた。「前々走の府中牝馬S(G3)で2着に入ったあたりで、馬が一段とパワーアップしたようですね。エリザベス女王杯(G1)は応援に行きましたが、勝ち馬は別格として、見せ場はあったし、善戦してくれました。今回もパドックではツヤが良く見え、掲示板ぐらいには来てくれるのではと期待していました。」と、正嗣さんはレース前の心境を語る。
苦楽を共にしてきたパートナー、宮崎騎手との呼吸はピタリと合っていた。絶妙なレース運びで能力を引き出し、ハナ差の接戦をものにした。
「最後の直線では競り合いになったので、“何とか勝ってくれ”と祈るような気持ちでした。ゴールの瞬間は際どかったので半信半疑でしたが、宮崎騎手が手を挙げたのが映ったので、勝ったんじゃないかなと思いました。確定が出る前からお祝いの電話が鳴って、詳しいレース結果もわからないまま、大騒ぎの状況でした。ジョッキーが上手く乗ってくれたし、馬も素晴らしい根性を発揮してくれた。夢のような気分でした。」と、正嗣さんは笑みを浮かべた。本馬の戦績を見ると、これで函館を除くJRA9場に出走。東西南北でひた走るキャリアウーマンだ。
セラフィックロンプは1歳時に庭先取引で売買された。牧場時代については、「薄くて、柔らかい馬でした。サンデーサイレンス系だけに大人しい気性ではありませんでしたが、人に悪さをする感じではなかったし、ケガもせず、のびのびと育ちました。」と、正嗣さんは振り返る。入厩先の武藤調教師もデビュー前から高く評価をしていたという。
母エルソルは馬格のあるタイプで、セラフィックロンプの男勝りな馬体は母譲りでもある。母の父ロイヤルスキーの血統からはアグネスタキオン、アグネスフライト、エアジハード、ジョウテンブレーヴ、ユキノビジンなど活躍馬が多数おり、将来、繁殖牝馬としても楽しみが膨らむ。正嗣さんも啓子さんも口を揃えて、「今後も体を大事にして、無事に牧場に帰ってきて欲しいです。」と、将来の看板牝馬として大きな期待を寄せている。
ゆかりのレースで待望の勝利を飾り、最高の形で2010年を締めくくったセラフィックロンプ。来年も大一番に挑戦する機会が出てくるだろう。
「またG1に出走することがあれば、競馬場まで応援に行きたいですね。」と、正嗣さん。充実期を迎えた今、更なる高みも十分に狙える。