2010年12月19日 朝日杯フューチュリティS G1
優勝馬:グランプリボス
プロフィール
- 生年月日
- 2008年03月28日 02歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:4戦3勝
- 総収得賞金
- 513,291,000円
- 母 (母父)
- ロージーミスト by サンデーサイレンス(USA)
- 馬主
- (株) グランプリ
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 矢作 芳人
- 騎手
- M.デムーロ
ノーザンファーム空港牧場でグランプリボスの背中に乗っていた冨高久志さんは、大阪の実家で朝日杯FS(G1)を見ていた。冨高さんにとって、自分が調教を施していた馬がG1出走するのはフィフスペトル以来のことになる。
「僕がグランプリボスに乗らせてもらっていたのは、メイクデビューの前までになります。京王杯2歳S(G2)の取材の際にも今井(翔一)さんが話していたと思いますが、ゲートが苦手な馬で、それからは今井さんや厩舎長など、様々な方がゲートの稽古を兼ねて乗ってくれていました」(冨高さん)
京王杯2歳S(G2)の取材では、今井さんから「能力は高いものがあったが、開花するのはまだ先になるのでは」と思われていたグランプリボス。では、同じように背中を知る冨高さんはどんな馬と捕らえていたのだろうか?
「力強い走りを見せていてくれたと思います。あとは、坂路を登らせていても、余裕のある動きを見せていましたね。ただ、精神的に幼かったせいか、その頃は敏感な面も見せていました」(冨高さん)
だが、朝日杯FS(G1)でのグランプリボスは、今井さんが話していたゲート難をまるで感じさせないようなスタートを切ると、道中では他馬と接触するアクシデントこそあったが、冨高さんが話していた精神面の幼さも全く感じさせず、上がり3ハロン最速の末脚でゴール板を駆け抜けた。
実は父のサクラバクシンオーにとって、これが初のマイルG1勝利。自身だけでなく、これまでの産駒も超えられなかった距離の壁を、グランプリボスはやすやすと突き抜けた。
「乗っている頃は距離の壁のようなものは感じなかったですね。先ほども話していたとおりに、調教では最後まで手応えに余裕のある走りを見せていましたし、気持ちもムキにはならなかったので、この距離はこなせると見てました」(冨高さん)
勝利の瞬間、冨高さんは嬉しさだけではない様々な感情が沸いてきた。「これまでやってきた仕事が報われる気持ちがしました。そして次は自分が最後まで関わった馬でG1を勝ちたいと思いました」(冨高さん)
今、育成を手がけている1歳馬にも、グランプリボスと同じく、高い素質を感じている馬もいるという。グランプリボスを通して感じたG1馬の背中。それをこれからの育成馬たちに生かせるようにと、今日も、そして明日も冨高さんはサラブレッドに跨る。