2010年12月12日 阪神ジュベナイルフィリーズ G1
優勝馬:レーヴディソール
プロフィール
- 生年月日
- 2008年04月08日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/芦毛
- 戦績
- 国内:3戦3勝
- 総収得賞金
- 154,933,000円
- 父
- アグネスタキオン
- 母 (母父)
- レーヴドスカー(FR) by Highest Honor(FR)
- 馬主
- (有) サンデーレーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 松田 博資
- 騎手
- 福永 祐一
トリッキーなコースとされる阪神芝1600m。まだレース経験の浅い2歳馬と、だからこそ起こるハイペースと、圧倒的な一番人気に支持されたレーヴディソールとはいえ、紛れが起こる可能性はいくらでもあった。
だが、蓋を開けてみれば、2着に付けた半馬身という着差以上の完勝。勝負所の反応の良さや、ゴール板を過ぎてからの余力など、競走馬としての資質の高さを、レーヴディソールはこの一戦だけで証明してみせた。
「阪神JF(G1)としては近年にないスローペースとなったことで、どの馬にもチャンスがありそうだなと思いながらレースを見ていました。それでも、レーヴディソールがファンの皆さんの期待に応えてくれただけでなく、他の馬をねじ伏せるようなレースを見せてくれたことは、この馬を送り出した我々にとっても、改めてその強さを再確認することができました」とノーザンファーム事務局の中尾義信さん。
ハイペースが続いていた阪神JF(G1)だが、1000m通過61秒2は過去10年の中でも最も遅く、勝ち時計の1分35秒7の勝ち時計も3番目に遅い。その流れの中、レーヴディソールはメンバー中最速の33秒9という次元の違う脚を使い優勝。ちなみに過去10年の阪神JF(G1)で33秒台の脚を使ったのはレーヴディソールだけである。
それでもレーヴディソールは、100点満点のレースを見せたわけではない。あまりのスローペースに業を煮やしたように、道中はひっかかるような素振りも見せた。
「確かに行きたがってはいましたが、その後、ジョッキーの指示に素直に従ってくれたことが、最後の末脚に繋がったと思います。行きたがっていたのをレースの中で立て直したということを加味すれば、満点以上のレースだったのではないのでしょうか」(中尾さん)
この勝利は、来年の牝馬クラシックを考えた時にも非常に意義のある勝利となった。阪神JF(G1)と同条件で行われる桜花賞(G1)において、昨年のブエナビスタ、そして今年のアパパネと2頭が優勝。ノーザンファームの先輩であるレーヴディソールにも桜花賞制覇の期待がかかる。
「桜花賞(G1)と同じコース、そして同じ距離を経験できたことは、来年以降のレースを考えた時に大きいと思います。ただ、このレース内容を参考にして挑んで来る馬もいるでしょうし、3歳になって力を付けてくる馬もいるはず。決して安心はできませんが、この馬自身、成長力のある母系とクラシックで結果を残しているアグネスタキオンの産駒ですので、いいレースを見せてくれると思っています」(中尾さん)
成長力のある母系と中尾さんが話す、母レーヴドスカーは、青葉賞(Jpn2)を優勝したアプレザンレーヴや、オープンのすみれSの勝ち馬ナイアガラ、07年の阪神JF(Jpn1)で2着したレーヴダムールなどを輩出。今年の牡馬クラシックにおけるレーヴドリアンの活躍も記憶に新しい。
だが、不幸なことにレーヴダムール、そしてレーヴドリアンは若くしてこの世を去っている。そう思うとレーヴディソールの阪神JF(G1)優勝は、改めて母レーヴドスカーの優秀さを証明してみせただけでなく、姉の無念を最高の形で晴らしたとも言える。
これで4年連続阪神JF馬を送り出したノーザンファーム。中尾さんは「毎年、高い資質を持った馬を送り出せたことは嬉しいです」と言いながらも、レーヴディソールに対しては親愛を込めたメッセージを送る。
「まずは無事に走って欲しいですね。一戦一戦を大事にしながら、次のレースに繋がる結果を残してくれればと思います」(中尾さん)
牧場の先輩であるブエナビスタは、牝馬二冠を制しただけでなく、現役最強馬として現在の日本競馬を引っ張る存在となり、アパパネは史上3頭目の牝馬三冠馬となった。これからレーヴディソールが一戦一戦を戦って行く中でどのような競走馬となるのかはまだ分からないが、この2頭とは違った形で、日本競馬史にその名を残す存在となることだけは間違いなさそうだ。