重賞ウィナーレポート

2010年11月20日 福島記念 G3

2010年11月20日 福島競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ダンスインザモア

プロフィール

生年月日
2002年05月03日 08歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:34戦5勝
総収得賞金
208,139,000円
ダンスインザダーク
母 (母父)
スーパーリヴリア  by  リヴリア(USA)
馬主
木浪 巖
生産者
西川富岡牧場 (静内)
調教師
相沢 郁
騎手
丸田 恭介
  • 母スーパーリヴリア
    母スーパーリヴリア
  • 牧場スタッフの小野寺さんとスーパーリヴリア
    牧場スタッフの小野寺さんとスーパーリヴリア
  • 大人しい馬だそうです
    大人しい馬だそうです
  • 牧場の厩舎
    牧場の厩舎
  • 牧場看板
    牧場看板

 穴党ファンにはたまらない秋のハンデ重賞、福島記念(G3)は8歳馬ダンスインザモアが豪快な末脚を発揮して優勝。12番人気の低評価を覆し、3歳時のスプリングステークス(G2)以来となる5年8か月ぶりの重賞制覇を果たした。

 本馬の生産は新ひだか町静内の西川富岡牧場。スタッフ2名、繁殖牝馬は12頭いる。同牧場の富岡京子さんにお話を伺うと、「レース前は“若い馬が多いなぁ”と出馬表を眺めていました。娘がダンスインザモアを“中年のおじさんは頑張ってくれるよ”と話していたんです。3歳春以降は重賞を勝てず、惜しいレースもあって、これまでの道のりは長く感じましたが、丈夫な馬ですね。よく走ってくれました。」と、その頑張りを称えた。

 所有する木浪巖オーナーと牧場は長い関係で、「馬主さんが茎となり、柱となってくれて、牧場が枝葉として存在していける部分もありますし、馬主さんに喜んでもらえるのは何よりですね。」と、朗報を分かち合うオーナーへは、安堵に似た思いがよぎる。

 牧場で働く皆さんも今回の勝利に沸いている。スタッフの小野寺さんと今野さんは、牧場の休憩室でレースをテレビ観戦し、歓喜の瞬間を目の当たりにした。ベテランの小野寺さんは、「後ろからよく伸びてくれましたね。牧場生産馬の勝利で、仕事の励みになります。」と、笑みを見せる。

 若い今野さんは、「当日は馬券を買って応援していました。ゴール前は声が出ましたね。重賞レースだと仕事の休憩時間にゆっくり見られますしね。本当に嬉しいです。」と、声を弾ませた。敗戦を見てきた分、勝利の味は格別だろう。

 2002年、ダンスインザモアは母スーパーリヴリアの7番仔として誕生した。富岡さんに牧場にいた頃を振り返っていただくと、「順調に育ちました。大きな馬体はこの血統の特徴ですね。」と、話す。母親似の穏やかな気性ですくすくと成長し、浦河町の吉澤ステーブルで育成された。入厩前から相沢郁調教師は“良い馬ですね”と高く評価していたという。

 母スーパーリヴリアは13頭の仔を産んでいる頑張り屋さん。「大人しくて手がかからない馬です。放牧地でじっとしていると、おばさんっぽく映りますが、走っている姿は若いですよ。だいぶ歳を重ねてきましたが、飼い葉をしっかり食べて元気にしています。」と、富岡さん。沢山の仔を残してきた母の強さ、丈夫さは、タフに走り続ける息子の姿につながる。牧場にはスーパーリヴリアの仔であるパルステージ(牝12歳)、ウッドリリー(牝9歳)が繁殖入りしており、孫世代の活躍にも期待がかかる。

 ダンスインザモアは皐月賞(G1)、ダービー(G1)にも駒を進め、仕事でほとんど競馬場へは行けない富岡さんを晴れ舞台に誘った一頭だ。その時一緒に走ったディープインパクトはすでに種牡馬入りし、産駒がデビュー。ダンスインザモアも時の流れを感じているのかもしれない。

 「これからも健康で、無事に走ってきて欲しいですね。」と、富岡さんは優しいまなざし。若者に負けじと奮闘する“中年の星”として、今後も古豪健在をアピールして欲しい。