重賞ウィナーレポート

2010年10月24日 菊花賞 G1

2010年10月24日 京都競馬場 小雨 良 芝 3000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ビッグウィーク

プロフィール

生年月日
2007年03月20日 03歳
性別/毛色
牡/青鹿毛
戦績
国内:10戦4勝
総収得賞金
219,127,000円
バゴ(FR)
母 (母父)
タニノジャドール  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
谷水 雄三
生産者
カントリー牧場 (静内)
調教師
長浜 博之
騎手
川田 将雅
  • 田村さんと母のタニノジャドール
    田村さんと母のタニノジャドール
  • 母のタニノジャドール
    母のタニノジャドール
  • 牧場風景
    牧場風景
  • 牧場風景~2
    牧場風景~2

 京都競馬場のパドックを悠々と周回するビッグウィーク。その姿をカントリー牧場の繁殖主任である田村直人氏は、ウオッカを始めとするこれまでの生産馬とはまた違った視線で見つめていた。

 「ビッグウィークの世代は、自分と育成主任である西山君とが一から手がけた世代になります。それだけにG1に出走する馬を送り出せたことには感慨深さもありました」(田村主任)

 この3歳世代から新体制となったカントリー牧場だが、2人の熱意が実ったのか、3歳世代はビッグウィークを始めとして、中央でデビューしたそのほとんどが勝ち上がっているだけでなく、着実にクラスを上げている。

 「具体的に何をやったかということはないのですが、常に馬を観察することには気を使いました。また、早い時期から馴致も始めていたこともあって、育成に移ってからもおとなしい馬が多かったと聞いています」(田村主任)

 幼少期のビッグウィークも馴致が行き届いたからかおとなしく、そして群れの中に入ると目立たない馬だった。

 「3歳世代の成績を見ても、産まれた頃から優れた資質を持った馬が揃っていたと思いますが、それでも当時のビッグウィークがG1を勝つような馬だったかと聞かれるとどうだったかな?という気がします」(田村主任)

 パドックでのビッグウィークは、状態も良さそうで、好走を予感させる出来だった。

 「実はレース前に菊花賞のシミュレーションをしていたのですが、逃げる馬の後方でレースを進めて早めに仕掛けることができれば、一発あるぞと思っていたんですよ」(田村主任)

 ゲートが開くと、そのシミュレーションは現実となる。大逃げをうった馬を射程圏に置く形でレースを進めたビッグウィークは、鞍上を務めた川田騎手の好判断もあり、早めのスパートを切ると直線で先頭に立つ。

 「抜け出した瞬間はしめたと思いました。このまま押し切れるとは思ったのですが、それでも外の馬がやってきた時にはハラハラしましたね」(田村主任)

 初重賞制覇がG1という偉業となったわけだが、このG1というタイトルは田村主任にも、そしてカントリー牧場にとっても重要なタイトルだった。

 「タニノギムレットが引退してから、ウオッカまでブランクがありました。だからこそウオッカが引退した時にはすぐにG1を沸かせるような活躍馬を送り出したいと思っていたのですが、まさかウオッカの引退後すぐに、それが叶えられるとは…」(田村主任)

 今年に入ってからはコンスタントに競馬を使われてきたビッグウィークは、歴戦の疲れを取るために休養へと入った。ちょっとの間、カントリー牧場の生産馬は重賞出走へのブランクができてしまうこととなりそうだが、層の厚い3歳世代がクラスを上げてオープンにたどり着き、その頃には復帰したビッグウィークが、G1戦線を沸かせているに違いない。