重賞ウィナーレポート

2010年10月02日 シリウスS G3

2010年10月02日 阪神競馬場 晴 良 ダ 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:キングスエンブレム

プロフィール

生年月日
2005年02月12日 05歳
性別/毛色
牡/青毛
戦績
国内:14戦5勝
総収得賞金
170,212,000円
ウォーエンブレム(USA)
母 (母父)
スカーレットレディ  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (早来)
調教師
石坂 正
騎手
福永 祐一

 シリウスS(G3)で初の重賞制覇を果たしたキングスエンブレム。半兄はダートG1で9勝をあげているヴァーミリアンということを考えると、やはり血統なのかという気もしてくる。だが、育成を手がけてきたノーザンファーム早来牧場の横手裕二育成厩舎長からすると、嬉しくも意外な重賞初制覇でもあった。

 「この血統を自分の育成厩舎で手がけるのは初めてということもあり、血統背景を考えずに接したのですが、その頃はダートではなく、芝向きの走りをしているなと感じましたね」(横手氏)

 実際、厩舎に入ってからも芝向きの走りを見せていたキングスエンブレムは、2歳の新馬戦を勝利後に、クラシック戦線を意識したローテーションが組まれている。3歳時にはすみれSを勝利したものの、その後、故障などもあって3勝目をなかなかあげられずにいた。

 「結局、3勝目は初のダート挑戦となった上賀茂Sとなったわけですが、その時はやはり血統なのではと思いましたね」(横手氏)

 今年の春先から夏の期間には横手厩舎に調整にもやってきたというキングスエンブレム。久しぶりに会ったとき、横手厩舎長は走りからだけでなく馬体からもダートをこなせる馬にキングスエンブレムが変貌したのを感じ取った。

 「連戦の疲れもあったのでしょうが、石坂調教師からは減っていた馬体を戻すように指示を受けていました。それでも体型はここにいた頃と変わっていましたし、馬体が戻ってからは調教の動きも力強さが増すようになっていましたね。ただ、2歳の頃と同じように、やんちゃな気性は全く変わっていませんでしたが(笑)」(横手厩舎長)

 いい状態で送り出せたと横手厩舎長も振り返るキングスエンブレムは、休み明けのオークランドRCTを勝利してオープン入り。セントライト記念(Jpn2)以来の重賞挑戦となったシリウスS(G3)だが、そこには横手厩舎から巣立ったアドマイヤスワット(牡5)の姿もあった。

 「レースはスタッフのみんなと休憩室で見ていました。2頭でワンツーフィニッシュができたらいいよね、と話していた通りにはならなかったのですが、それでもキングスエンブレムが重賞を勝ってくれたことは、今後のローテーションを考えたときにも良かったと思います」(横手厩舎長)

 このシリウスSの勝利で賞金を加算できたことにより、ローテーションが組みやすくなっただけでなく、半兄ヴァーミリアンとの対決も望めるようになった。

 「でも、兄の域に達するまではまだまだですね。それでもセンスのあるところはこの重賞でも証明してくれたと思いますし、年齢的に成長力も見込めるので、いずれは重賞の常連となっても恥ずかしくない馬となっていてくれると思います」(横手厩舎長)

 今後は12月5日に阪神競馬場で行われる、ジャパンカップダート(G1)を目標にローテーションが組まれていくことになったキングスエンブレムであるが、そこで横手厩舎長の想像を超えたG1制覇と兄越えを同時に果たしてくれるのかの知れない。