2010年08月15日 クイーンS G3
優勝馬:アプリコットフィズ
プロフィール
- 生年月日
- 2007年01月26日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦3勝
- 総収得賞金
- 189,736,000円
- 母 (母父)
- マンハッタンフィズ by サンデーサイレンス(USA)
- 馬主
- (有) 社台レースホース
- 生産者
- 社台ファーム (千歳)
- 調教師
- 小島 太
- 騎手
- 武 豊
馬名のアプリコットとは、杏の英名。熟すと甘みが生じて、ジャムなどにも用いられる杏ではあるが、3歳を迎えたアプリコットフィズを成熟したと表現するのは、まだ早すぎるかもしれない。
それでもクイーンS(G3)でのアプリコットフィズは、まさに成熟した競走馬の走りだった。ゲートが開くと好位置でレースを進め、3コーナー過ぎには早くも先頭へと躍り出る。直線でプロヴィナージュが迫って来るも、1馬身差を付けてゴール板を先頭で駆け抜けた。
実は勝ったアプリコットフィズも、そしてプロヴィナージュも、社台ファームの生産馬。しかも、2頭は前走の後、社台ファームで調整されていたのだが、3着のカウアイレーン、そして4着のレジネッタも、社台ファームでの調整を挟んで、クイーンSに出走してきた馬たちだった。
「生産馬の2頭だけでなく、牧場でこの夏を過ごした馬の4頭で上位を独占してくれたことは、我々も励みになりますし、厩舎の皆さんの足を引っ張らない仕事ができたのではと思います」と話してくれたのは、この日に競馬場へ応援に訪れていた社台ファームの長浜卓也さん。長浜さんは眼鏡越しの瞳を細めながら、アプリコットフィズと過ごしたこの夏の想い出を振り返る。
「オークスの後、牧場には戻ってきたのですが、リフレッシュできて、本当にいい状態でしたね。クイーンSの出走が決まってから、出走までの期間を逆算して馬を仕上げていきました。10日前の入厩となったのですが、一度、ガタッと来たと聞いていたので、その後、短期間で持ち直させてくれた小島厩舎のスタッフの皆さんには感謝するばかりです」(長浜さん)
それにしても評価されるべきは、アプリコットフィズを含め、牧場で調整されていた4頭での上位独占。これは社台ファームで行われている仕事のたまものだと思うが、長浜さんは決しておごった言葉を残さない。
「小島厩舎の皆さんもそうですが、プロヴィナージュ、カウアイレーン、レジネッタと厩舎の皆さんと連絡を密に取り、そのチームと一緒に仕事ができていることが、こうした素晴らしい結果に繋がったのだと思います。アプリコットフィズもそうですが、我々としては入厩時期を逆算しながら、どれだけフレッシュな状態で厩舎へと送り届けられるかだと思います。そのために特別なこともしていませんし、その一方で北海道開催の時期は、こうした外厩的な仕事も増えるので、どの馬もいい状態で競馬を迎えさせてあげられたらと思いますね」(長浜さん)
アプリコットフィズを含めたクイーンSの上位4頭は、レースの後、間もなく社台ファームへと戻り、秋競馬に向けて鋭気を養っている。社台ファームにおける1度目の熟成で、甘露な勝利を味わせてくれたアプリコットフィズであるが、この2度目の熟成を経た秋は、G1という種がこぼれ落ちるほどの完熟を迎えていそうだ。