2010年07月25日 函館記念 G3
優勝馬:マイネルスターリー
プロフィール
- 生年月日
- 2005年03月29日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:25戦7勝
- 総収得賞金
- 221,067,000円
- 母 (母父)
- スイートウインク by サンデーサイレンス(USA)
- 馬主
- (株) サラブレッドクラブ・ラフィアン
- 生産者
- 野島牧場 (門別)
- 調教師
- 加用 正
- 騎手
- D.ホワイト
伝統の1戦「第46回函館記念」(G3)は、好位から力強く抜け出したマイネルスターリーが後続に3馬身半差をつけて圧勝。初重賞Vにして、サマー2000シリーズの有力候補に名乗りをあげた。
マイネルスターリーが生まれたのは日高町の野島牧場。叔母にワコーチカコ(94年エプソムカップ(G3)、函館記念(G3)、95年京都金杯(G3)、京都記念(G2))がいる血統背景で、祖母シバスキーの血を受け継ぐ同牝系からは他にダンツジャッジ(03年ダービー卿チャレンジトロフィー(G3)、04年AJCC(G2))が輩出されている。
これまで母スイートウインクに目立った活躍馬はいなかったが、父スターオブコジーンの05年度産駒は「当歳の頃から見栄えが良く、馬っぷりが良かった」(野島牧場・野島泰さん)。その格好の良さは、当歳時の写真が近隣の育成牧場の看板として使われたほどで、野島さんは「これならどこへ出しても恥ずかしくない」とセレクトセールに送り出すことを決めた。
そして、同馬を落札したのが“マイネル”の冠で知られるビッグレッドファーム。競り合いの末というわけではないが、確かな目利きによって見出されたことは間違いない。「スイートウインクの05」改めマイネルスターリーは、こうしてBRFブランドの一員となった。
デビュー2戦目で初勝利を挙げたマイネルスターリーは、3戦を挟んで共同通信杯(Jpn3)に出走。後方2番手からメンバー最速の上がりで追い上げるも、わずかに及ばず3着に終わった。しかし、この時、野島さんは確信していた。
「この走りはもしかしたら…重賞、いやG1を勝てる馬かもしれない」ダービー出走こそ叶わなかったものの、古馬条件に編入後の夏競馬で500万下、1000万下を連勝。着実にパワーアップを遂げ、翌年の札幌開催ではついにOP勝ち。重賞に駒を進めるレベルに到達した。
8度目の重賞挑戦は2010年の函館記念(G3)。リニューアルしたばかりの函館競馬場のスタンドには、勝利を意識した野島さんの姿があった。視線の先は力の要る洋芝コースのど真ん中。勢い良く抜け出してきたのはおなじみの赤と緑の勝負服、マイネルスターリーだった。
野島牧場にとってはダンツジャッジのAJCC(G2)以来、およそ6年ぶりのJRA重賞勝利。それでもどこか、野島さんは淡々としていた。「ああ、勝ったんだなと。勝つかもしれないと思っていたし、特別な感慨はなかったような気がしますね」
当歳のセレクトセールで売却して、同年の秋にはビッグレッドファームに移動した。あれから5年。細かな情報は得られないため、遠くにいる馬のような、不思議な感覚だという。「でもひとつ言えるのは、あの馬にはビッグレッドファームの育成方法がぴたりと合ったということです。それは間違いない」野島さんは満足そうに頷いた。
「生産牧場の理想はやっぱりオーナーブリーダー。現実的には難しいですが、できることなら」と野島さんは願う。スイートウインクの10年度産駒は父キングヘイローの牝馬。競走馬としてはもちろん、名牝シバスキーの血を受け継ぐ者として、将来は繁殖牝馬として期待される。当然、半兄が重賞ウイナーなら市場価値は高まるが、野島さんは「自己所有で走らせる」と決めている。