2010年07月18日 アイビスサマーダッシュ G3
優勝馬:ケイティラブ
プロフィール
- 生年月日
- 2004年03月31日 06歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:17戦5勝
- 総収得賞金
- 89,632,000円
- 母 (母父)
- ウイニングリバー by ムーンマツドネス(GB)
- 馬主
- 瀧本 和義
- 生産者
- 永田 克之 (荻伏)
- 調教師
- 野元 昭
- 騎手
- 西田 雄一郎
夏の新潟の名物レース、アイビスサマーダッシュは“千直”巧者の6歳牝馬ケイティラブが逃げ切り勝ち。極上の短距離決戦で自慢のスピードをフルに発揮し、後続馬に影を踏ませなかった
ケイティラブの生産は浦河町野深の永田克之牧場。過去には2000年、2001年のガーネットステークス(G3)を連覇した快速馬ビーマイナカヤマや、2004年のきさらぎ賞(G3)を制したマイネルブルックを生産している。創業は1945年で、現在、繁殖牝馬は6頭。この道40年の永田克之さんと妻・妙子さんご夫婦による家族経営の牧場だ。
永田克之さんは当日、自宅で愛馬の走りを見守っていた。「レースの登録馬が出た時点では賞金的に出走できない状況だったので、まずは無事に出走できて良かったと思いました。新潟の芝1000m戦は得意なので、重賞挑戦でも入着できそうかなと思って応援していました。今回もハナに立つ競馬ができたので、道中は安心して見ていられました。牧場にとっては今年の初勝利が重賞勝ちとなって、本当に嬉しいです。」と、喜びを語る。
ゴール前は応援に力が入り、一緒に見ていた妙子さんは思わず大きな声が出たという。次々とかかるお祝いの電話を受けながら急ぎ足で祝勝会の準備をし、晩には盛大に宴を開いたそうだ。
牧場時代のケイティラブについては、「大人しくて落ち着いた馬でした。立派なトモをしていましたね。」と、当時の印象を語る。1歳時、セレクションセール上場へ向けてコンサイナーに預けることにした際、馬運車に乗るのをしぶり、6人がかりでようやく乗せたというエピソードも教えてくれた。外向気味の左前肢が嫌われてか市場では声がかからず、買い手がついたのは2歳夏。同世代が競馬場でデビューを始めた頃、ようやく競走馬として第一歩を踏み出せた苦労馬だ。
「成長期に無理をさせなかったので、逆に脚元が固まって良かったのかもしれません。」と、永田さん。2歳からの本格的な育成開始となったが、後々500kgを超す肉体形成には好機となった。
ケイティラブの母系は優秀なファミリー。母ウイニングリバーは3番仔マイネルブルックに続き、2頭目のタイトルホースを輩出した。祖母ビーマイファイアはウイニングリバーの他に5億円近くを稼ぎ出した実績馬ビーマイナカヤマや、現オープン馬マイネルフォーグを輩出し、長きに渡って牧場の屋台骨を支えている。永田さんは、「ビーマイファイアは牧場にとって宝です。昔でいう“かまど馬”ですね。」と、誇らしげに語る。24歳となる現在も健康で、競走馬上がりの繁殖牝馬を馴染ませるための教育馬として一役買っている。
ウイニングリバーは昨年繁殖生活を引退したが、半妹ビーマイハニー、カヤドールージュが里帰りし、実績十分の血統から更なる活躍馬の輩出を目指している。「この血統は成長力がありますし、根性もあります。スピードも豊かで、芝もダートもこなせるのが長所ですね。」と、永田さん。丈夫で強い馬づくりを意識して今年から夜間放牧も始め、次なる重賞ウイナー輩出へ意欲を燃やしている。
今後のケイティラブについては“とにかく無事に”と永田さんご夫婦は口を揃えた。過去、日本ダービー(G1)に出走した生産馬マイネルブルックは、最後の直線で故障発生し、命を落とす悲劇に見舞われてしまった。「マイネルブルックの時は目の前で見ていましたから、本当にショックでした…。レースに勝ってくれると苦労も報われますが、一番に願うことは無事に走ってくれることです。」と、永田さんは思いを語る。小さな牧場の愛情をたっぷり受けて育った快速牝馬。スプリントの大舞台で元気一杯の走りを見せて欲しい。