2010年07月11日 プロキオンS G3
優勝馬:ケイアイガーベラ
プロフィール
- 生年月日
- 2006年04月27日 04歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:10戦6勝
- 総収得賞金
- 209,815,000円
- 父
- Smarty Jones(USA)
- 母 (母父)
- アンナステルツ(USA) by Danzig(USA)
- 馬主
- (株) 啓愛義肢材料販売所
- 生産者
- 隆栄牧場 (新冠)
- 調教師
- 平田 修
- 騎手
- 岩田 康誠
第15回プロキオンS(G3)は、スタートから先手を取ったケイアイガーベラが追いすがるサマーウインド、ナムラタイタンを突き放して、嬉しい重賞初勝利をあげた。生産の隆栄牧場にとっては1982年のニシノスキー以来の重賞制覇となった。
ケイアイガーベラの生まれ故郷となる隆栄牧場は、戦前から軽種馬生産を営む老舗牧場。社長の飛渡隆さん(59)に話をうかがった。「祖父(作一さん)が牧場をスタートさせたと聞いています。現在は家族と牧場スタッフで18頭の繁殖牝馬を繋養し、生産と中期育成を行なっています」という。
当日は夫婦でテレビ観戦となった。「強い馬がいましたし、自分の競馬さえしてくれれば良いと、気楽に見ていました。それがあれよあれよという間にゴールですから。嬉しいというよりも、信じられない気持ちでしたね」と隆さん。次々と届けられる花や祝いの品々を見るたびに、町で行き交う人から声をかけられるうちに実感が沸いてきたという。
ケイアイガーベラにとっては今年4月に船橋競馬場で行われたマリーンC(Jpn3)(4着)に続く2回目の挑戦で重賞初勝利。しかも勝ち時計の1分21秒8は約15年ぶりにJRAレコードを更新するものだった。
「ニシノスキー以降、生産馬はオープンまでは行くのですが、重賞は遠い存在でしたね。馬のために一生懸命色々なことをやっているつもりだったんですが、もう自分の代では重賞には縁がないのかな、なんてそんなことを思ったこともありますね。」という。
そんな思いを打ち破るような快走劇だった。「ウチにいたのは当歳秋までなんですが、その当時から垢抜けした、良い馬でしたね。頑張ってくれた馬と、よい馬を預けてくれた馬主さんには感謝したいし、強い馬に育ててくれた育成場、そして厩舎にも頭が下がる思いです」と感謝している。
母のアンナステルツは2005年11月にキーンランドセールで馬主さんが購入した。ケイアイガーベラを産んだあと、翌年は産駒に恵まれず、再び渡米。米国でアフリートアレックスの牝馬を産んだあと、ラーヒの仔を受胎した状態で、また日本に戻ってきた。「ラーヒの仔は牡に生まれたのですが、当場ではなく、別の牧場の生産馬です。ところが、また産駒に恵まれなかったので、環境を変えようと当場に来ました」。現在はマンハッタンカフェを受胎している。
ガーベラの花言葉は『崇高美』『神秘』。牡馬の強豪にまじって挑戦したたった1頭の牝馬がレコードタイムで快勝した。そのレースは崇高なまでに美しかった。これからも活躍を期待したい。